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献本対象書籍:詳細
開発経済学 実証経済学へのいざない
定価:税込 4,620円(本体価格 4,200円)
- 発刊年月
- 2025.04
- ISBN
- 978-4-535-54089-7
- 判型
- A5判
- ページ数
- 552ページ
- Cコード
- C3033
- ジャンル
- 国際経済・開発経済・各国経済
- 難易度
- テキスト:中級
内容紹介
経済学のあらゆる分野を包括するため「総合格闘技」とも称される開発経済学。その主要理論と最新の実証分析手法を体系的に完全網羅。
目次
第1章 開発経済学の諸課題と潮流
第2章 実証分析の作法
第3章 命と健康の問題
第4章 教育
第5章 リスク
第6章 借入と貯蓄
第7章 国家の経済発展
*******************************************
【詳細目次】
第1章 開発経済学の諸課題と潮流
1 開発経済学の扱う諸課題
2 エビデンスに基づく政策形成への動き
3 開発経済学の潮流と実証分析の興隆
4 本書のねらい
5 本書で用いられるギリシャ文字の読み方
第2章 実証分析の作法
1 因果関係推定の基礎:選択バイアス、回帰分析、RCT
1.1 相関関係と因果関係
1.2 因果効果の概念
1.3 因果効果推定と選択バイアス:Rubin の因果モデル
1.3.1 潜在的結果と因果効果
1.3.2 平均因果効果と選択バイアス
1.4 因果効果推定と選択バイアス:回帰分析への拡張
1.5 最小二乗法による回帰式の推定
1.6 重回帰分析
1.7 ランダム化比較試験
2 統計的推測
2.1 大数の法則と中心極限定理
2.2 仮説検定
2.3 最小二乗法への応用
2.4 結合仮説検定
2.5 デザイン・ベースの統計的推測
2.6 内的妥当性と外的妥当性
2.7 第一種の過誤、第二種の過誤
2.8 統計的捏造、HARKing、出版バイアス、再現研究
第3章 命と健康の問題
1 途上国の医療の現状
2 感染症対策と外部性
2.1 個人の意思決定と外部性のモデル:設定
2.2 個人の意思決定
2.3 外部性
3 外部性と因果効果推定:駆虫薬の事例
4 感染症対策:マラリアとHIVの事例
4.1 マラリアの効果の分析:差の差分析(DID)
4.2 マラリア予防の投資行動
4.3 予防行動と価格
4.4 治療薬と価格補助
4.5 HIV の脅威
4.6 HIV 検査の効果:操作変数法
4.7 情報提供
5 医療提供者の問題
5.1 医療の質
5.2 医療提供者へのインセンティブ
6 費用効率性分析
7 離散選択モデル
8 二段階最小二乗法(2SLS)の留意点
8.1 2SLS 推定量と二つの条件
8.2 弱い操作変数
8.2.1 弱い操作変数を用いることによる歪み
8.2.2 シミュレーションによる図解
8.2.3 問題の直感的解釈と
実際のデータ分析における指針
8.2.4 Anderson-Rubin の推定方法
8.3 効果が異質な場合の2SLS 推定値の解釈
8.3.1 OLS
8.3.2 2SLS
9 差の差分析の留意点*
9.1 差の差分析と二方向固定効果モデル
9.2 異質な効果がある場合の差の差分析
9.2.1 処置のタイミングが異なる差の差分析
(staggered DID)
9.2.2 処置変数が連続的な場合
9.3 共通トレンド
10 クラスター内の相関*
第4章 教育
1 途上国の教育の現状
2 教育の経済学:理論的フレームワーク
2.1 教育生産関数
2.2 家計の意思決定
3 教育の収益率
3.1 教育の内部収益率(IRR)
3.2 ミンサー方程式
4 教育の収益率の推定にまつわる問題
4.1 教育水準の内生性
4.2 操作変数を使った研究事例:インドネシアの学校建設
4.3 回帰不連続デザインによる推定
4.3.1 回帰不連続デザインが使える設定
4.3.2 シャープ RDD による推定
4.3.3 シャープ RDD の妥当性のチェック
4.3.4 ファジー RDD による推定
4.4 標本選択バイアス
5 均衡効果*
5.1 労働者の選択問題
5.2 企業側の労働需要
5.3 労働市場均衡
6 教育の改善:需要側
7 教育の改善:供給側
第5章 リスク
1 貧困層の直面する様々なリスク
2 リスクへの対応
2.1 リスク管理とリスク対処
2.2 リスク対処行動と均衡効果
3 リスク回避と保険需要
4 情報の非対称性の問題
4.1 逆選択
4.1.1 ベンチマーク:情報の非対称性がない場合
4.1.2 逆選択:情報の非対称性がある場合
4.2 モラルハザード
4.3 情報の非対称性の影響の計測
4.3.1 情報の非対称性の問題の検証
4.3.2 逆選択とモラルハザードの影響の計測
5 インデックス保険
6 助け合いによるリスク分散
6.1 完全保険とパレート最適性
6.2 リスク選好の異質性とリスク分散
6.3 インフォーマル保険が不完全となる要因*
7 リスクと分益小作制
7.1 マーシャルの非効率性
7.2 分益小作制の理論:リスク分散とインセンティブの両立
7.3 分益小作制の実証
8 リスク下での意思決定に関する行動経済学的なモデル
第6章 借入と貯蓄
1 途上国における金融アクセス
2 借入と貯蓄の意思決定:動的計画法
2.1 動的計画法:有限期間の場合
2.2 無限期間の場合
2.3 借入制約のあるモデル
3 借入制約と貧困の罠
4 借入制約と情報の非対称性
4.1 逆選択
4.2 モラルハザード
4.2.1 事前的モラルハザード:投資・努力選択
4.2.2 事後的モラルハザード:戦略的債務不履行
4.3 逆選択とモラルハザードの推定
4.4 在来金融
5 マイクロクレジット
5.1 返済率を高めるための工夫
5.1.1 グループ貸付
5.1.2 動学的インセンティブ
5.2 マイクロクレジットの効果測定
5.2.1 実証分析の際に検討すべき事項
5.2.2 様々な実証手法の妥当性
5.2.3 RCTによるマイクロクレジットの効果測定
5.3 マイクロクレジットの設計改善
6 貯蓄と現在バイアス
6.1 現在バイアスのモデル
6.2 コミットメントへの需要
6.3 コミットメントと柔軟性
6.4 先延ばし行動
7 モバイルマネー
第7章 国家の経済発展
1 経済成長:ソロー・モデル
1.1 定常状態
1.2 資本蓄積と人口抑制の効果
1.3 収斂仮説
2 所得格差の源泉:技術進歩
2.1 ソロー・モデルと技術進歩
2.2 技術進歩の重要性に関する実証的な証拠:発展会計と成長会計
2.3 運命の逆転と制度
2.4 奴隷貿易
3 制度のゲーム理論的分析
3.1 経済取引を支える制度:罰則、長期的関係、集団懲罰
3.1.1 制度とゲームのルール
3.1.2 長期的関係に基づく関係的契約
3.1.3 関係的契約と市場競争
3.1.4 多角的懲罰戦略
3.2 収奪的制度と政治均衡
3.2.1 制度移行を分析する政治経済モデル
3.2.2 交渉で拘束力のある合意が形成可能な場合
3.3 政治制度変更に関する実証分析
4 構造転換
4.1 構造転換のパターンと農業生産性ギャップ
4.2 二部門モデル
4.3 特殊ケース:ルイス・モデルとハリス=トダロ・モデル
4.3.1 ルイス・モデル
4.3.2 ハリス=トダロ・モデル
4.4 構造転換の要因
4.4.1 所得効果による最終消費財の需要構成の変化
4.4.2 各部門の生産性の変化
4.4.3 投資財、中間財への需要の変化
4.5 国際貿易と脱工業化
5 資源配分と市場の機能
5.1 資源配分の歪み
5.2 市場統合
5.3 輸送費用の削減と交易・特化の利益:十分統計量アプローチ
5.4 集積の経済*
6 産業政策
6.1 産業政策の論拠と批判
6.2 産業政策に関する実証的な証拠
6.3 経済モデルに基づく数量的分析*
※*を付けた節・項は発展的内容である