書籍詳細:境界例

境界例

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  • 河合 隼雄
  • 成田 善弘
  • 編集
  • 紙の書籍
定価:税込 1,540円(本体価格 1,400円)
在庫なし
発刊年月
1998.03
旧ISBN
4-535-56075-7
ISBN
978-4-535-56075-8
判型
四六判
ページ数
244ページ
Cコード
C3011
ジャンル

内容紹介

時代の病いとしての境界例が大きな関心を呼んですでに久しい。しかし、診断基準が出されたとはいえ、このやっかいな病いの実体はまだつかみどころがない。「悩ましい」臨床現場の鮮烈なイメージに拠って、その実像に迫る。(『こころの科学セレクション』は雑誌『こころの科学』に掲載された特別企画に最新の情報を加筆して、単行本化したものです。)

目次

Part1 境界例とはなにか
1 時代の病としての境界例
 二分法的思考へのプロテスト
 棄て児
 対象化
 片子
 意識の拡大
2 境界例が精神医学に問いかけるもの
 「境界」という言葉のメタファー
 伝統的精神医学のなかで
 精神分析学のなかで
 パーソナリティへの注目
 母子関係の重視
 日本人母子関係についての問いかけ
 個人治療から家族治療へ
 現代文明への問いかけ
3 境界例概念はどのように発展してきたか
 その歴史的変遷
 境界概念の現状
 おわりに
4 境界例患者の内的世界
 境界例の特性
 境界例患者の内的世界
 内的メカニズムの構図
5 学生相談にみる境界例
 コムニタス状況と危うい自我
 治療構造の枠の柔軟さ
 症例にかかわりながら
 ふえる女性の境界例
 治療者としてみえてきたこと
6 境界例と臨床心理
 面接の開始にあたって
 治療初期
 治療中期
 治療後期・終期
 治療者の連携を
Part2 事例報告とシンポジウム
事例報告
家庭内暴力をともなう登校拒否児Kとその家族
 家族関係
 治療経過
 ある臨床場面でのエピソード
 Kの手記とその後の経過
シンポジウム
境界例とかかわる
 事例の第一印象
 家族とどうかかわるか
 親と子からの転移のはざまで
 システミックな対応の功罪
 「突き当たり」と「あきらめ」
 家庭教師Oさんのむずかしさ
 自殺未遂・ほのめかしへの対応
 薬は補助的なもの
 むかむかっとしたらどうする?
 治癒像・治療観
 現代病としての境界例
 境界例の見分け方
Part3 境界例臨床
 開業精神療法の視点から
 内面の風景や物語をふまえたうえで
 診療と治療についてのストラテジー
 積極的にかかわり、依存させすぎない工夫
 境界例の入院治療について
 基底部分のズレの修復
 概念の多義性と変遷にかかわりながら