書籍詳細:経済論戦

経済論戦 いまここにある危機の虚像と実像

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  • 紙の書籍
定価:税込 2,090円(本体価格 1,900円)
在庫なし
発刊年月
2003.05
旧ISBN
4-535-55349-1
ISBN
978-4-535-55349-1
判型
四六判
ページ数
352ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

「エセ経済学」を完膚無きまでに叩きのめし、返す刀で「経済ハルマゲドン本」を一刀両断に! 「世間知」にとらわれた「経済学を知らないエコノミストたち」を相手にした獅子奮迅の闘いの記録!

目次

まえがき
第1部 日本の経済政策―金融政策、為替政策そして構造改革

第1章 日本経済の危機―その本質と処方箋
何が真の危機か―現在の不況の本質
デフレの恐怖―良いデフレ論の誤り
流動性の罠にはまり込んだ日本
デフレの罠―デフレはデフレを呼ぶ
財政政策の意義と限界
インフレ目標を導入せよ
デフレ脱却期間における政府と日銀のアコード
日本再生への道―過去からの教訓

第2章 デフレ不況を読み解く
深刻化するデフレ不況
デフレはなぜ起こるのか
「良いデフレ論」の問題点
デフレ阻止に必要な金融の量的緩和
第3章 「サプライサイド政策」はどこまで経済学的か―需要側を無視する議論の危険性
「学者大臣」誕生の意味
「五五年体制」における経済学者―その諸類型
ポリシー・インテレクチュアルズ
「サプライサイド政策」の意味と目的
なぜ「需要側の政策」を否定するのか
財政政策についての見方
不明瞭な金融政策の位置付け
「サプライサイド政策による需要喚起」は可能か
政府の真の役割とは何か
第4章 構造改革と景気
「二者択一」を見直す
構造改革の真の目的
マクロ経済政策の役割
「失われた十年」の真因
構造改革論の誤解
二律背反ドグマを超えて
第5章 デフレ脱却なくして経済回復はない―いまこそ必要 インフレ目標
未だ不透明な自律的回復への展望
デフレが企業のバランスシート悪化を増幅
日本だけがなぜ深刻なデフレなのか
専門家も間違える「良いデフレ」論議
日銀総裁人事が日本の命運を左右する

第6章 なぜ「国際競争力」にとらわれてはいけないのか
「国際競争力」論の跳梁跋扈
日本の「国際競争力」は低下しているのか
日本の「国際競争力」が低下すると日本は損失をこうむるのか
「国際競争力」を失った国の労働者の賃金は低下していくのか
「国際競争力」の維持のためには「高コスト構造=高賃金」の是正が必要か
円安による調整は日本に損失をもたらすのか
日本の「高コスト構造」の打破のためにはデフレが必要なのか
日本の「高コスト構造」は政府規制による低生産性が原因か
日本の「国際競争力」を守るためには「高付加価値産業」の創出が必要か
「国際競争力」なる思考の罠
第7章 的外れの「デフレ対策」
景気悪化が続く限り金融不安は消えない
 危機の季節/金融不安のメカニズム/政府・日銀の「空想的」金融健全化策
マクロ的視点を欠く羊頭狗肉の「総合デフレ対策」
 ようやく出た総合デフレ対策/デフレの克服には何が必要か/政府の本来の役割とは何か
第8章 「速水日銀」五年の金融政策を総括する
日銀総裁人事の焦点となった「デフレ克服」
第一期(九八年四月~〇〇年二月)ゼロ金利の導入と反「量的緩和」
第二期(〇〇年三月~〇一年三月)ゼロ金利解除の三つの論理
第三期(〇一年三月~現在)戦略なき「量的緩和」の導入
事実上は中原伸之審議委員の先導
破滅的な臆病さ

第9章 円高阻止に不胎化介入は有効か
介入の意味―金融政策と為替政策の交点
不胎化・非不胎化に関する教科書的理解
「非不胎化介入論」の難点
「無制限不胎化介入論」の論理
政策変更を前提としない介入はむしろ危険
市場介入は有効だったのか―九五年「超円高」の解釈
金融政策における為替レートの位置付け

第2部 政策批判とメディア批判

第10章  論戦・小泉政権下の経済政策―MM(メール・マガジン)『日本国の研究 不安との訣別/再生のカルテ』
デフレ不況の克服には何が必要か
 いよいよどんづまりの日本経済/構造改革で日本経済を救えるのか/マクロ政策の何が問題だったのか/日銀は量的緩和に踏み切れるか
デフレの何が問題か―読者の質問に答える
 デフレと量的緩和をめぐる見解の対立/なぜデフレの阻止が必要か/なぜ量的緩和なのか
再び日本経済の足を引っ張る日銀
 まぼろし?の量的緩和/国民生活を人質にとり構造改革を迫る日銀
求められる金融政策の新たな枠組み―八月一四日の量的緩和拡大を顧みて
 「量的緩和拡大」の想像される背景/なぜ断固たる「デフレ阻止」が必要か/デフレ期待を反転させる条件とは何か/早急に必要なマクロ・ポリシーミックスのための政策協定
構造改革の真の目的とは何か―政府と市場の正しい役割分担を
 深まる不況のなかで構造改革をどう進めるか/景気か構造改革か「二者択一ドグマ」の不毛性/「言うだけ構造改革論」は無意味/構造改革とは逆行する不良債権処理/求められる政府の役割とは
「ハルマゲドン経済論」の決定版―書評・木村剛著『キャピタル・フライト―円が日本を見棄てる』
 日本の「先駆」としてのアルゼンチンそしてトルコ?/資本逃避が拡大すれば貿易黒字が吹っ飛ぶ?/デフレとは「貨幣社会に対する信頼の高まり」?
経済政策をめぐる「専門知」と「世間知」
 「デフレ克服」のために克服すべきもの/日本の金融政策に対する海外マクロ経済学者たちの見方/世論によってもたらされた悲劇/「世間知」をどう克服するのか
金融政策における「専門知」とは何か
 「専門知」をどう把握するか/専門知が専門知となるプロセス/「複雑系経済学」は現在のマクロ経済学を代替しうるか/マクロ経済学における「専門知」とは/日本の金融政策の何が問題だったのか

第11章  アカデミズムから見た経済ジャーナリズムの問題点
民主主義社会におけるジャーナリズムの位置
政策提示と民主的選択
「批判による淘汰」の重要性
思いこみ的経済論議の数々
日米経済摩擦を振り返って
「グローバリズム」をめぐる虚と実
経済学者と実務家の「悪しき分業」
無視される経済学の専門性
経済学者からも嫌われる経済学
残された課題

第3部 グローバリズムの神話と現実 

第12章  虚妄のアメリカ陰謀説
反転する日米経済摩擦
「前川リポート」の誤謬
「管理貿易論」はどこへ
日本が債権国であることの本当の意味
経常黒字は「勝ち」ではない
ドル散布による「借金帳消し」は可能か
それはアメリカ経済の自殺
「対ドル戦略としての円圏構想」の不毛性
アジア危機の本質
日本が真になすべきこと

第13章 対談「日米摩擦」の何が問題か
鉄鋼摩擦をどう見るか
摩擦と不均衡
日本のマクロバランスの問題点
日米の相互認識の「振れ」
なぜ俗論が広まるのか
摩擦の政治的メカニズム

第14章 異端から正統へ―ポール・クルーグマン
学界のスターから論壇の寵児へ
俗流経済論への批判と経済学的伝統の擁護
国際経済学の伝統的思考への挑戦
経済理論と政策論議との連関と断層
異端から正統への変貌

第15章 幻想の<マネー敗戦>―本山美彦氏の批判に答える
日本経済にとってのアメリカの意味
「政治的圧力による非合理的な対外投資」は持続可能か
投資家にとっての「合理性」とは何か
「為替差損」をどう把握すべきか
対米証券投資の実績をどう評価すべきか
「国際政策協調」をどう捉えるか
「経済学」をどう理解するか

第16章 「開かれた社会」の創出にむけて
「開かれた社会」とは何か
民主主義の世界的拡大の意味
開かれた社会への扉としてのグローバリゼーション
より開かれた日本社会へ

解説―あとがきにかえて
初出一覧