書籍詳細:環境ホルモン

環境ホルモン 人心を「撹乱」した物質

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  • 紙の書籍
定価:税込 1,760円(本体価格 1,600円)
在庫なし
発刊年月
2003.07
旧ISBN
4-535-04824-X
ISBN
978-4-535-04824-9
判型
四六判
ページ数
240ページ
Cコード
C3340
ジャンル

内容紹介

内分泌撹乱物質は、「環境ホルモン」の名で広く知られている。野生生物をメス化し、人類の未来を脅かす物質とまでいわれ恐れられてきたが、それは確かだろうか。科学データとその正しい読み方をとおして、真相に迫る。

目次

序章 寝耳に水の一大事
流行語大賞1998
起爆剤――警告の書
日本「環境ホルモン元年」の出来事
 週一点の「環境ホルモン本」
 環境庁の対応
 学会の旗揚げ
 科研費
 国際シンポジウムの開始
以後のなりゆき
 「環境ホルモン本」の出版動向
 マスコミ報道の勢い
 SPEED98の動向
 国際シンポジウム
本書のあらまし

1章 マスコミ人の勇み足
マスコミの力と性格
テレビ報道の問題点
 マダイのメス化
 英国のローチのメス化
 多摩川のコイのメス化
 巻貝の生殖異常
 アポプカ湖のワニ
 精子の減少
 歯の充填剤とビスフェノールA
 水圏の汚染
 アメリカの物質安全対策
 へその緒に環境ホルモンが出た
 ビスフェノールAの溶出許容濃度
 低用量効果
新聞記事の問題点
出版物の問題点

2章 環境ホルモンとは何か
内分泌とホルモン
ホルモンの仕事
天然の性ホルモン
オスとメス
環境ホルモン(1)――合成女性ホルモン
環境ホルモン(2)――合成物質
 プラスチックの原料や添加物(A)
 界面活性剤の原料や分解生成物(B)
 残留性有機塩素化合物(C)
 船底塗料の活性成分(D)
環境ホルモン(3)――植物エストロゲン
問題は何か?

3章 多摩川のコイ
魚の雌雄
リー川のローチ
多摩川のコイがメス化した?
 話の発端
 多摩川と神田川
 コイのメス化と精巣異常
下水処理場の影響
 女性ホルモン活性
 その他の影響
一般河川のコイ
養殖の魚
魚のメス化問題――私見
毒性をみる試験
 試験のやりかた
 試験結果の例
「容疑者」の濃度調べ
水はきれいになってきた

4章 鳥や魚に危機迫る?
野生生物の異常と環境汚染
五大湖の生物たち
 鳥(1) ハクトウワシ
 鳥(2) ミミヒメウ
 鳥(3) セグロカモメ
 魚(1) レイクトラウト
 魚(2) サケ
 ミンク
 野生生物の物質汚染――経年変化
バルト海の生物たち
その他の生き物
 ワニ
 フロリダヒョウ
 カワウソ
 カエル
海の哺乳類
日本の生物たち
 魚の汚染度
 巻貝のオス化
環境浄化の歩み
 個人的な体験・意見
 水環境汚染の推移
 化審法と環境モニタリング
 国際条約
残留性有機物質の環境中濃度と生体汚染度
 DDTとPCB
 ダイオキシン類

5章 ヒトもあぶない?
環境ホルモンの人体影響
DESの事故
追跡調査
DESの作用
 ヒトの性分化と性ホルモン
 母体のつくる女性ホルモン
 摂取時期の影響
 ヒトとネズミの大差
DESの起こした障害
 男子・高投与量(シカゴ大学)
 男子・低投与量(メイヨー・クリニック)
 女子・高投与量(シカゴ大学)
 女子・低投与量(DESAD計画)
 女子・中~高投与量(DESAD計画)
 膣と子宮頸部の腺がん
ピルの作用
精子が減った?
以後の成り行き
 地域差
 日本人の精子数
 精子数測定のむずかしさ
性ホルモンによる発がん
 性ホルモン過剰とがん
 性ホルモン不足が起こす疾患

6章 大豆vs.ビスフェノールA
量が肝心
注目されたビスフェノールA
植物エストロゲン
 植物エストロゲンとは
 植物エストロゲンの種類
 ホルモン病と植物エストロゲン
いろいろな物質の女性ホルモン作用と毒性
 ラットの子宮重量法試験
 ネズミに対する生殖毒性
 総合的に見た毒性
ゲニステインvs.ビスフェノールA
 摂取量を考えた女性ホルモン作用
 ビスフェノールAの耐容摂取量
 動物実験の問題点――餌
女性ホルモン物質の体内動態
 代謝
 血中タンパク質との結合
 排泄
 腸肝循環
 胎児への移行
 植物エストロゲンの体内動態
ビスフェノールAの「低用量効果」
 話の皮切り
 再現できず
 生殖毒性試験
 企業vs.大学

7章 まとめと展望
海の向こうの物語
なぜこの国で騒ぐのか?
三つの立場
 研究者
 マスコミ
 行政
無差別攻撃
2002年6月14日――SPEED98の失速・墜落?
2002年11月28日――取材なき報道
これからの研究課題
 生物のことなら、生物を知ろう
 植物エストロゲンを理解キる
 妊娠したらなぜ女性ホルモンがふえるのか
 「低用量効果」の謎を解く
 女性ホルモンの生態毒性試験
 簡便な試験法の開発
終わりに

あとがき
索引