書籍詳細:日本の所得格差と社会階層

日本の所得格差と社会階層

の画像の画像
  • 紙の書籍
定価:税込 3,520円(本体価格 3,200円)
在庫なし
発刊年月
2003.12
旧ISBN
4-535-55360-2
ISBN
978-4-535-55360-6
判型
A5判
ページ数
288ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

「中流社会の崩壊」が叫ばれているが、所得格差の拡大や階層意識の固定化はほんとうに進んでいるのか? 本書は、経済学・社会学・教育学などの第一線の研究者の共同研究により日本社会の現在の姿を検証する。

目次

第1部 社会階層・格差についての現状と動向

第1章 所得格差の拡大はあったのか 大竹文雄
1.はじめに
2.所得格差の拡大は見られるか
3.生涯所得の格差
4.年齢別の不平等度と人口高齢化
5.おわりに

第2章 日本における資産格差 太田清
1.はじめに
2.資産格差の特徴、これまでの推移と現状
3.国際比較から見た日本の資産格差
4.遺産・相続と世代間移転
5.むすび

第3章 パネルデータに見る所得階層間の流動性と意識変化
 樋口美雄・放專充男・鈴木盛雄・飯島隆介・川出真清・坂本和靖
1.はじめに
2.「消費生活に関するパネル調査」の特徴
3.所得格差と階層間移動について
4.所得階層・就業状態と生活程度・満足度
5.むすびにかえて

第4章 階層再生論の神話 盛山和夫
1.階層再生産拡大説
2.階層移動は閉鎖化したか
3.「閉鎖化」データ読みの錯覚
4.学歴媒介強化説の神話
5.おわりに

第5章 社会階層と階層意識の国際比較 石田浩
1.はじめに
2.データと変数
3.世代間の階層移動
4.到達階層と学歴、職業威信、所得
5.階層帰属意識
6.おわりに

第2部 各視点から見た格差と階層化

第6章 教育における階層格差は拡大しているか
 ――社会的セーフティネットとしての公教育の政策課題
 苅谷剛彦
1.はじめに
2.ペーパーテストの正答率から見た学業達成とその変化
3.中学校時の成績の規定要因の変化
4.「新しい学力」に見る階層差
5.結論

第7章 劣化する若年と自営業の所得構造 玄田有史
1.はじめに
2.データについて
3.市場所得関数の推計
4.無所得者の存在
5.公的再分配の影響
6.自営業間の所得格差
7.むすびにかえて

第8章 階層格差が若者の心理・行動に与える影響について 山田昌弘
1.はじめに
2.階層論再考
3.階層格差の社会心理学
4.若者の階層分化の現状とその心理に与える影響

第9章 格差/平等論と社会政策の改革
 ――ジェンダー視点から
 大沢真理
1.「公正な格差」論と「自己責任社会」政策
2.格差/平等とセーフティネット
3.男女格差と社会政策システムの座標
4.「男性稼ぎ主」型から脱却するのか――小泉改革のゆくえ

第10章 消費の現場と階層意識 関沢英彦
1.はじめに
2.欧米のマーケティングと階層・階級
3.階層とエスニシティ
4.日本市場の特異性
5.日本のマーケテイングと階層
6.階層意識の調査
7.生活分野と階層意識
8.まとめ

第3部 社会階層・格差と社会のあり方 活力ある社会のために

第11章 規制改革を通じた公平性の確保 八代尚宏
1.はじめに
2.公平性の基準とは
3.労働市場における公平性
4.医療における公平性
5.福祉における公平性
6.おわりに

第12章 なぜ所得格差が問題か
 ――今後のリサーチの方向についての試論
 猪木武徳
1.はじめに
2.文明論にかかわる予備的考察
3.「客観的」格差と「主観的」満足度
4.アダム・スミスの考察
5.要約と結論