書籍詳細:現代アメリカ選挙の集票過程

現代アメリカ選挙の集票過程 アウトリーチ戦略と政治意識の変容

の画像の画像
  • 紙の書籍
定価:税込 3,960円(本体価格 3,600円)
在庫なし
発刊年月
2008.07
ISBN
978-4-535-58520-1
判型
四六判
ページ数
418ページ
Cコード
C3036
ジャンル

内容紹介

アメリカ社会を内側から揺さぶる<分裂と統合>をめぐる政治の力学――人種と民族、信仰と宗教、富と貧困など、アメリカ社会の多様性に潜む根源的対立を収斂させ、選挙民の投票行動を決定づける個別対応の集票戦略である「アウトリーチ」について詳細に論じた初の政治分析論。

目次

第1章 アメリカの選挙と「アウトリーチ」

アメリカの分裂

パープル・アメリカ

「分裂」と「二極化」をつくりだす選挙

「ドラマ」としてのキャンペーン

クリントンと選挙参謀

アメリカの選挙キャンペーンの変遷

世論調査と専門家の役割の変質

マーケティングの「隙間」

地域の政治的特質を生む「コンテキスト」

投票率と「有効投票」―永遠の課題

「集票ターゲット」と政党を支持する理由

選挙キャンペーンの実践と全国委員会

「空中戦」と「地上戦」とアウトリーチ

アウトリーチのターゲット

選挙民リストとキャンバシング

第2章 人種の境界線と政治

エスニック・アメリカの原風景

ニューヨーク移民社会が象徴するもの

黒人と「アフリカ系」

「人種の境界線」とニューディール連合

共和党の南部戦略

アファーマティブ・アクション

黒人票と対立軸

黒人票の変容

共和党の黒人閣僚―パウエルとライス

ジョージ・W.ブッシュと黒人アウトリーチ

共和党の南部戦略見直し

政治的単位としての「黒人」の今後

第3章 選挙民としての「エスニシティ」

国勢調査の「祖先」欄

エスニシティ分類によるアウトリーチ

「非プロテスタント」の移民

統計用語としての「アジア系」

アメリカにおける「日系人」

新しい「アジア系アイデンティティ」の創造

ニューヨーク民主党の「アジア系」対策

選挙民集団別集票に向けたメッセージングの実例

アジア系対策にみる民主党と共和党の「移民社会像」

選挙におけるヒスパニック・ファクター

ヒスパニック系が投げかける問題群

ヒスパニック系とマイノリティ

利益集団としての「エスニシティ」

候補者が象徴する「記号」の塗り替え

民主党アウトリーチの改革

ポスト「エスニック」アウトリーチ

第4章 信仰と「価値」をめぐる相剋

あるカトリック教徒一家の投票行動

「政教分離」と「市民宗教」の両立

福音派と宗教右派の組織化

福音派アメリカ人が「福音派選挙民」になるとき

信仰心ギャップと世俗主義

南部バプティストの宗教文化の拡散

「カトリック票」の系譜

カトリック・アウトリーチ

共和党による宗教の政治レトリック

民主党内分裂の元凶としての「宗教争点」

民主党宗教アウトリーチの新展開

グラスルーツ「宗教左派」による「価値問題」の再定義

信仰ギャップ克服の次元へ

「原理主義」と「保守主義」の乖離

信仰と選挙のこれから

第5章 ポピュリズムとグラスルーツ

アメリカのポピュリズム

共和党と「ハートランド」としてのカンザス

「空中戦」とテレビ選挙の変容

政治言論としてのマイケル・ムーア映画

リベラル系の映像ポピュリズム

「エリート」と「ポピュリズム」の分断

「リムジン・リベラル」

「ネーダー・ファクター」―ワシントンからの離反

保守とリベラルに割拠するポピュリスト

二大政党を脅かす「ファクター」として

共和党による巻き返し(1)ブランディング

共和党による巻き返し(2)マイクロ・ターゲティング

共和党がモデルにしたH.R.クリントンのアウトリーチ選挙

「文化」のアウトリーチ

グラスルーツ・ロビイングのモデル

テクノロジーの進化とネガティブキャンペーン

変わるテクノロジーと変わらない選挙民

「プログレッシブ」による民主党の再定義

書評掲載案内

■2008年8月31日付『日本経済新聞』読書欄「この一冊」で紹介

■『図書新聞』第2897号 5面 吉野孝早稲田大学教授評