書籍詳細:再分配の厚生分析

再分配の厚生分析 公平と効率を問う

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  • 紙の書籍
定価:税込 3,850円(本体価格 3,500円)
在庫僅少
発刊年月
2010.06
ISBN
978-4-535-55644-7
判型
A5判
ページ数
264ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

救済を真に必要とする人に資源を重点的に投入するには?。経済学はもとより社会疫学、幸福研究のアプローチ等を動員して分析する。

第53回「日経・経済図書文化賞」受賞

目次

はしがき





序 章:各章の概要





第1章 再分配問題へのアプローチ



 1. はじめに



 2. 所得格差はなぜ問題なのか



  2.1 リスク回避

  2.2 不平等回避

  2.3保険としての税



 3. 所得格差をどう評価するか



  3.1 アトキンソン型の社会的厚生関数

  3.2 2つの極端な社会的厚生関数

  3.3 所得格差をどう測るか

  3.4 平等主義的再分配の妥当性



 4. 公平性と効率性をどう両立させるか



  4.1 税と補助金による所得再分配

  4.2 最適な再分配政策

  4.3 中位投票者仮説と所得再分配



 5. 所得格差そのものが問題ではないのか



  5.1 行動経済学からの批判

  5.2 格差拡大と社会的厚生

  5.3 数値計算の結果とその解釈



 6. おわりに





第2章 2000年代前半の所得格差と貧困



 1. はじめに



 2. 所得格差は拡大しているか



  2.1 格差指標

  2.2 データ

  2.3 所得格差の推移

  2.4 カーネル密度推計量で見た所得分布の変化

  2.5 格差変動の要因分解



 3. 貧困化は進んでいるか



  3.1 貧困指標

  3.2 貧困指標の推移

  3.3 貧困変動の要因分解

  3.4  TIP曲線



 4. 勝ち組・負け組の違いは明確になっているか



  4.1 一様に進んだ所得水準の低下

  4.2 極化の概念

  4.3 極化指標の推移



 5. 日本人全体の幸せはどう変化しているか



  5.1 社会的厚生の試算方法

  5.2 試算結果



 6. おわりに





第3章 再分配政策の効果と限界



 1. はじめに



 2. 再分配政策は格差縮小・貧困軽減に貢献しているか



  2.1 「所得再分配調査」による分析

  2.2 年齢階層別にみた再分配

  2.3 年齢階層別にみた所得分布

  2.4 所得階層間の所得再分配



 3. 再分配政策は効果的に行われているか――年間所得ベースでの分析



  3.1 格差縮小効果の要因分解

  3.2 試算結果

  3.3 貧困軽減効果の要因分解



 4. 再分配政策は効果的に行われているか――生涯所得ベースでの分析



  4.1 問題意識と試算の方針

  4.2 再分配政策の効果



 5. 再分配政策に改善の余地はないか――生涯所得ベースでの分析



  5.1 所得階層別にみた税・社会保障負担・給付

  5.2 追加的な再分配政策の効果



 6. おわりに





第4章 消費税改革と社会的厚生・貧困



 1. はじめに



 2. 限界的税制改革とは何か



  2.1 先行研究

  2.2 基本的考え方

  2.3 課税の限界コストの推計方針



 3. 限界的税制改革の効果をグラフで示す



  3.1 限界的税制改革と集中曲線

  3.2 DCC曲線

  3.3 CDC曲線とDCDC曲線



 4. 消費構造から消費税改革の効果を試算する



  4.1 消費支出構造と実効税率

  4.2 支出体系の推計と需要の価格弾力性

  4.3 税収引き上げ効果

  4.4 分配特性



 5. 社会的厚生を高める消費税改革とは



  5.1 課税の限界コスト

  5.2 DCC曲線

  5.3 DCDC曲線



 6. おわりに





第5章 再分配問題としての教育システム選択



 1. はじめに



 2. 教育システムをどのように分析するのか



  2.1 基本モデル

  2.2 私教育



 3. 政府は教育にどのように関与するのか



  3.1 平等主義的公教育

  3.2 差別的公教育

  3.3 公教育・私教育の併存



 4. どのような教育システムが望ましいか



  4.1 計算の前提

  4.2 計算結果

  4.3 感応度分析

  4.4 税制による再分配との連動



 5. おわりに





第6章 教育の能力識別機能と社会的厚生



 1. はじめに



 2. 教育の能力識別機能になぜ注目するのか



  2.1 問題意識

  2.2 政策的含意



 3. 教育の能力識別機能をどうモデル化するか



  3.1 教育需要:能力がわかっている場合

  3.2 教育の能力識別プロセス

  3.3 教育の能力識別プロセスと教育需要



 4. 効率性の観点から教育システムを評価する



  4.1 私教育システム

  4.2 公教育システム

  4.3 混合システム



 5. 理論モデルの解析結果を数値計算で例示する



  5.1 数値計算の設定

  5.2 教育の期待限界純便益関数の例示



 6. 公平性の観点から教育システムを評価する



  6.1 私教育システムと公教育システムの優劣

  6.2 混合システムと私教育システムの優劣



 7. おわりに





第7章 健康と所得格差-社会疫学的アプローチ



 1. はじめに



 2. 健康と所得格差をどう結びつけるか



  2.1 集計データによる分析の限界

  2.2 多重レベル分析のアプローチ

  2.3 多重レベル分析の留意点



 3. 先行研究は何を明らかにしたか



  3.1 これまでの実証研究

  3.2 データ面の制約をどう克服するか

  3.3 分析上の問題点

  3.4 貧困・社会的厚生との関連



 4. どのような方法で分析するのか



  4.1 分析方針

  4.2 オッズとオッズ比

  4.3 説明変数



 5. 日本でも所得格差は健康に影響するか



  5.1 制御変数の影響

  5.2 フル・モデルによる分析

  5.3 低所得層の所得環境の重要性

  5.4 不平等回避度の推計



 6. おわりに





第8章 幸福度と所得格差-幸福研究的アプローチ



 1. はじめに



 2. 先行研究は何を明らかにしたか



  2.1 幸福度・生活満足度の決定要因

  2.2 日本における先行研究

  2.3 Alesina et al. (2004)の研究



 3. 日本でも所得格差は幸福度に影響するか



  3.1 分析方針

  3.2 説明変数の選択

  3.3 所得格差と幸福度のマイナスの相関

  3.4 個人属性別にみた所得格差と幸福度の関係



 4. 幸福度,健康,所得格差の関係を同時に考える



  4.1 問題意識と分析方針

  4.2 推計結果



 5. おわりに





第9章 子供の貧困の経済的帰結-社会学的アプローチ



 1. はじめに



 2. なぜ子供の貧困に注目するのか



  2.1 問題意識

  2.2 回顧的評価の内生性の制御

  2.3 主観的アウトカムへの注目

  2.4 子供の貧困の重層的影響



 3. 子供の貧困の影響をどのように把握するのか



  3.1 重層的影響の把握

  3.2 人生の連立5元方程式

  3.3 比較のための3つの追加的モデル



 4. 分析のためのデータを揃える



  4.1 分析対象

  4.2 被説明変数と説明変数



 5. 子供の貧困はその後の人生をどこまで左右するか



  5.1 記述統計レベルにおける分析

  5.2 子供の貧困の決定要因

  5.3 最終学歴の決定要因

  5.4 現時点の貧困への影響

  5.5 幸福度とSRHへの影響

  5.6 結果の頑健性



 6. 子供の貧困の影響は直接的か間接的か



  6.1 分析手法

  6.2 試算結果



 7. おわりに

書評掲載案内

■2010年07月13日付 『エコノミスト』