書籍詳細:ケーススタディ刑法[第3版]
ケーススタディ刑法[第3版]
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内容紹介
目次
第3版のはしがき
凡例
第1章 刑法と道徳[井田]
1 刑法は何のためにあるか
刑法による道徳の強制? 被害者のない犯罪 法益概念の内容
2 自己決定権の限界としての反道徳性?
自己決定権とは何か 被害者の同意――とくに同意傷害の違法性
自己決定権の内在的制約
3 まとめ
第2章 罪刑法定主義[丸山]
1 法律がなければ犯罪も刑罰もない
罪刑の専断と罪刑法定主義 罪刑法定主義の古典的内容
罪刑法定主義の現代的内容
2 わが国の刑法と罪刑法定主義
何が問われているか 特別刑法における過失犯
条例への罰則の委任 明確な規定?
3 まとめ
第3章 責任主義[丸山]
1 責任がなければ刑罰はない
責任主義の意義 責任があれば刑罰がある? 責任主義の内容
2 責任主義の徹底
主観的責任の原則との調和 個人責任の原則との調和
個人責任の原則の例外
3 まとめ
第4章 刑法の解釈[井田]
1 刑法解釈の基準と刑法解釈の限界
刑法の解釈と適用 解釈方法の形式的分類
解釈選択の実質的基準 目的論的解釈の限界
2 ケーススタディ
逃がすことも「傷害」か 「公然陳列」の意義 胎児性致死傷
3 まとめ
第5章 結果無価値論と行為無価値論[丸山]
1 「結果」が悪いのか,それとも「行為」が悪いのか
形式的違法性と実質的違法性 ふたつのアプローチ
主観的違法要素
2 結果無価値論と行為無価値論の歩み寄り
一元論と二元論 ふたたびケース1について
主観的正当化要素としての「防衛の意思」 偶然防衛
3 まとめ
第6章 刑法の適用(効力)[丸山]
1 刑法の効力が及ぶ時間的範囲
時間的適用範囲に関する原則 刑法の効力の発生時点
刑罰法規の追及効?
2 刑法の効力が及ぶ場所的範囲
場所的適用範囲に関する原則 犯罪地の意義
明文のない国外犯処罰?
3 まとめ
第7章 構成要件要素[丸山]
1 犯罪成立の第1段階
犯罪の確認方法と犯罪論体系 犯罪の型と構成要件要素
2 犯罪の主体と客体
犯罪の主体 犯罪の客体
3 行為と結果
行為 結果
4 まとめ
第8章 不真正不作為犯[井田]
1 なぜ問題となるのか
不真正不作為犯とは 罪刑法定主義違反? 保証者説
2 ケーススタディ
不真正不作為犯の成否の判断 保証義務の発生根拠の多元性
3 まとめ
第9章 因果関係[井田]
1 刑法における因果関係の問題
刑法的評価の問題としての「因果関係」
2 前提としての条件関係
条件関係の公式とその適用 公式を修正すべきか
3 相当因果関係
相当因果関係説とは 折衷説か客観説か
なぜ判例は相当因果関係説を採用しないか
4 結果帰属の実質的根拠
5 まとめ
第 10 章 故意[井田]
1 故意とは何か
故意行為を重く処罰する理由
2 故意における事実認識の程度
あてはめの錯誤は故意を阻却しない 意味の認識
薬物犯罪における意味の認識 「類的認識」としての事実認識
3 確定的故意と不確定的故意
故意の種類 3つの不確定的故意
4 未必の故意
故意は意思か認識か 未必の故意をめぐる学説
認容説 実現意思説 盗品等に関する罪の故意
5 まとめ
第 11 章 事実の錯誤(1)[井田]
1 刑法における錯誤論
錯誤とは 故意を阻却する錯誤と阻却しない錯誤
2 事実の錯誤と違法性の錯誤
事実の誤りと評価の誤り 2つの錯誤を区別する理由
3 具体的事実の錯誤
法定的符合説と具体的符合説 故意の個数?
具体的符合説の難点
4 まとめ
第 12 章 事実の錯誤(2)[井田]
1 錯誤が異なった構成要件にまたがるとき
何が問題か 主観面と客観面の符合
2 学説と判例
厳格な構成要件的符合説 抽象的符合説 法定的符合説
3 符合の限界
ケーススタディ
4 まとめ
第 13 章 過失(犯)[丸山]
1 不注意,過失,過失犯
不注意な行為も処罰されることがある 注意義務違反としての過失
過失(犯)をめぐる学説
2 注意義務(違反)の認定
予見義務(予見可能性) 不注意の競合
3 管理者・監督者の過失
管理・監督過失
4 まとめ
第 14 章 結果的加重犯[丸山]
1 特殊な複合形態の犯罪
犯罪類型としての特殊性 法定刑の加重根拠
危険運転致死傷罪の罪質
2 犯罪形態としての特殊性に起因する問題
軽微な致傷の扱い 重い結果の故意的実現の扱い
結果的加重犯の未遂
3 まとめ
第 15 章 可罰的違法性(論)[丸山]
1 可罰的違法性という考え方
犯罪とその確認方法 構成要件と違法性・責任との関係
実質的違法論と可罰的違法性論 可罰的違法性が欠ける類型
2 可罰的違法性が問題になる事例
処罰に値しない軽微な違法 処罰すべき軽微な違法?
違法の相対性
3 まとめ
第 16 章 正当防衛[井田]
1 違法性阻却事由としての正当防衛
違法性阻却事由とは 正当防衛と緊急避難
成立要件を比較すると
2 正当防衛の限界
侵害の急迫性 防衛の意思 やむをえずにした行為
挑発行為と正当防衛権の濫用
3 正当防衛と過剰防衛
過剰防衛とは 防衛行為の必要性と相当性 行為か結果か
4 まとめ
第 17 章 緊急避難[井田]
1 緊急避難の法的性格
正当防衛と緊急避難 緊急避難の本質
違法性阻却事由説と責任阻却事由説 二分説
2 刑法 37 条の解釈
緊急避難の要件 現在の危難 避難行為
法益の均衡 強要緊急避難 自招危難
3 まとめ
第 18 章 安楽死と尊厳死,終末期医療[丸山]
1 人の生命と刑法
生命の放棄は許されるか 安楽死と尊厳死
2 安楽死
どのような形の安楽死が問題なのか
名古屋高裁判決の6要件 横浜地裁判決の4要件
3 尊厳死
何が問題なのか 尊厳死の正当化要件
4 終末期医療
医療行為の中止 治療義務の限界の判断
5 まとめ
第 19 章 責任能力[丸山]
1 責任能力,責任無能力,限定責任能力
行為者に対する法的非難の前提 刑法が予定する責任能力の状態
責任無能力・限定責任能力の規定方法と判定方法
裁判における責任能力の判断
2 行為と責任(能力)の同時存在
同時存在の原則は徹底できるか?
責任無能力状態の利用という構成 同時存在の原則の拡張
過失犯の場合
3 まとめ
第 20 章 違法性の錯誤[井田]
1 違法性の錯誤の取り扱い
違法性の錯誤とは 事実の錯誤と違法性の錯誤
2 違法性の意識の具体的内容
違法性の錯誤にいう「違法性」とは
反道徳性・法違反性・可罰的刑法違反性 科刑の予測可能性の保障
3 違法性の錯誤の回避可能性
行為の違法性と有責性 責任能力論との関連性
回避可能性の具体的基準
4 違法性の錯誤と事実の錯誤の区別
区別のための判断基準
5 まとめ
第 21 章 違法性阻却事由の錯誤[井田]
1 違法性阻却事由の錯誤とは
何が問題か 事実の錯誤か違法性の錯誤か
2 学説における議論の状況
通説の論拠 違法だが責任はない 通説の問題点
厳格責任説
3 誤想防衛の諸類型
誤想防衛の3つの態様
4 誤想過剰防衛
誤想過剰防衛とは
5 まとめ
第 22 章 実行の着手[丸山]
1 犯罪の実現段階と刑法
犯罪の実現段階と処罰の拡張 予備罪・陰謀罪
未遂犯,「実行の着手」の意義
2 「実行の着手」の認定
「実行の着手」に関する学説 判例における形式的客観説
実質的客観説の採用?
3 まとめ
第 23 章 不能犯[井田]
1 未遂処罰の根拠
既遂と未遂 犯罪の主観面と客観面 結果か行為か
2 結果無価値論と行為無価値論
見解の相違点 事前判断と事後判断 刑法の存在理由との関係
3 未遂犯と不能犯の区別
行為の危険はどのように判断されるか 3つの学説
4 危険判断の標準
誰の法則的知識によるか ただの一般人か,科学的一般人か
5 まとめ
第 24 章 中止犯[井田]
1 刑の(必要的)減免の根拠
中止犯とは 政策説 法律説――責任減少説と違法減少説
中止犯における理論と政策
2 中止行為の任意性
「自己の意思により」 具体例の検討
3 中止行為
着手中止と実行中止 客観説・主観説・折衷説
中止行為の「真摯性」
4 結果の不発生
結果の不発生と「因果関係」の要否
5 まとめ
第 25 章 正犯と共犯[井田]
1 実行行為と正犯行為
実行行為とは何か 実行行為と危険性
正犯行為としての実行行為
2 正犯と共犯の区別
正犯の種類,共犯の種類 正犯の概念 危険性か支配性か
共犯の概念 正犯と共犯の関係
3 間接正犯
間接正犯とは 間接正犯の成立する場合 間接正犯否認論
4 まとめ
第 26 章 共同正犯[丸山]
1 共同で実現した犯罪の扱い
共同正犯の意義と効果 共同正犯の成立要件
犯罪共同説と行為共同説
2 共同正犯の成否が問題になりうる場合
実行行為を分担しない共同現象 不注意の共同現象
共同者間の不一致
3 まとめ
第 27 章 共犯の従属性―共犯の処罰根拠[井田]
1 共犯の従属性
いわゆる実行従属性 いわゆる要素従属性
要素従属性の緩和?
2 共犯の処罰根拠
「堕落説」と「惹起説」 従属性による修正?
3 未遂の教唆
未遂の教唆とは 教唆犯肯定説と不可罰説
4 まとめ
第 28 章 従犯(幇助犯)[丸山]
1 正犯を手助けする犯罪者
従犯の意義 従犯の処罰根拠 促進関係
2 さまざまな形態の手助け
幇助行為の無限定性 精神的幇助 片面的幇助
不作為による幇助 間接幇助
3 正犯との不一致
従犯における錯誤(過剰)
4 まとめ
第 29 章 共犯の関連問題[丸山]
1 共犯の関連問題の2面性
共犯の意義と関連問題
2 共犯に固有の問題
不作為(犯)と共犯 共犯関係の解消
3 共犯に関連する問題
違法性阻却事由と共犯 中止未遂と共犯
4 まとめ
第 30 章 共犯と身分[井田]
1 身分犯の共犯
身分犯とは 2種類の身分犯 65 条1項と2項の関係
共犯従属性説の徹底 違法身分と責任身分 通説・判例の立場
2 身分とは何か
判例と学説 事後強盗罪は身分犯か
3 65 条1項・2項の解釈
65 条1項 65 条2項
4 まとめ
第 31 章 犯罪の数(罪数)[丸山]
1 犯罪にも数がある
犯罪の数を論じる意味 罪数を決定する標準(基準)
一罪と数罪
2 本来的一罪
法条競合 包括(的)一罪 包括一罪の成否
3 科刑上一罪
観念的競合と牽連犯 観念的競合の成否 牽連犯の成否
4 まとめ
第 32 章 刑罰制度[丸山]
1 わが国の刑罰制度はどうなっているか
刑罰の意義と機能 刑罰の種類 主刑 付加刑
2 死刑をめぐる問題
死刑と憲法 死刑の選択基準
3 没収をめぐる問題
第三者没収と憲法 没収における罪刑の均衡
4 まとめ
事項索引
凡例
第1章 刑法と道徳[井田]
1 刑法は何のためにあるか
刑法による道徳の強制? 被害者のない犯罪 法益概念の内容
2 自己決定権の限界としての反道徳性?
自己決定権とは何か 被害者の同意――とくに同意傷害の違法性
自己決定権の内在的制約
3 まとめ
第2章 罪刑法定主義[丸山]
1 法律がなければ犯罪も刑罰もない
罪刑の専断と罪刑法定主義 罪刑法定主義の古典的内容
罪刑法定主義の現代的内容
2 わが国の刑法と罪刑法定主義
何が問われているか 特別刑法における過失犯
条例への罰則の委任 明確な規定?
3 まとめ
第3章 責任主義[丸山]
1 責任がなければ刑罰はない
責任主義の意義 責任があれば刑罰がある? 責任主義の内容
2 責任主義の徹底
主観的責任の原則との調和 個人責任の原則との調和
個人責任の原則の例外
3 まとめ
第4章 刑法の解釈[井田]
1 刑法解釈の基準と刑法解釈の限界
刑法の解釈と適用 解釈方法の形式的分類
解釈選択の実質的基準 目的論的解釈の限界
2 ケーススタディ
逃がすことも「傷害」か 「公然陳列」の意義 胎児性致死傷
3 まとめ
第5章 結果無価値論と行為無価値論[丸山]
1 「結果」が悪いのか,それとも「行為」が悪いのか
形式的違法性と実質的違法性 ふたつのアプローチ
主観的違法要素
2 結果無価値論と行為無価値論の歩み寄り
一元論と二元論 ふたたびケース1について
主観的正当化要素としての「防衛の意思」 偶然防衛
3 まとめ
第6章 刑法の適用(効力)[丸山]
1 刑法の効力が及ぶ時間的範囲
時間的適用範囲に関する原則 刑法の効力の発生時点
刑罰法規の追及効?
2 刑法の効力が及ぶ場所的範囲
場所的適用範囲に関する原則 犯罪地の意義
明文のない国外犯処罰?
3 まとめ
第7章 構成要件要素[丸山]
1 犯罪成立の第1段階
犯罪の確認方法と犯罪論体系 犯罪の型と構成要件要素
2 犯罪の主体と客体
犯罪の主体 犯罪の客体
3 行為と結果
行為 結果
4 まとめ
第8章 不真正不作為犯[井田]
1 なぜ問題となるのか
不真正不作為犯とは 罪刑法定主義違反? 保証者説
2 ケーススタディ
不真正不作為犯の成否の判断 保証義務の発生根拠の多元性
3 まとめ
第9章 因果関係[井田]
1 刑法における因果関係の問題
刑法的評価の問題としての「因果関係」
2 前提としての条件関係
条件関係の公式とその適用 公式を修正すべきか
3 相当因果関係
相当因果関係説とは 折衷説か客観説か
なぜ判例は相当因果関係説を採用しないか
4 結果帰属の実質的根拠
5 まとめ
第 10 章 故意[井田]
1 故意とは何か
故意行為を重く処罰する理由
2 故意における事実認識の程度
あてはめの錯誤は故意を阻却しない 意味の認識
薬物犯罪における意味の認識 「類的認識」としての事実認識
3 確定的故意と不確定的故意
故意の種類 3つの不確定的故意
4 未必の故意
故意は意思か認識か 未必の故意をめぐる学説
認容説 実現意思説 盗品等に関する罪の故意
5 まとめ
第 11 章 事実の錯誤(1)[井田]
1 刑法における錯誤論
錯誤とは 故意を阻却する錯誤と阻却しない錯誤
2 事実の錯誤と違法性の錯誤
事実の誤りと評価の誤り 2つの錯誤を区別する理由
3 具体的事実の錯誤
法定的符合説と具体的符合説 故意の個数?
具体的符合説の難点
4 まとめ
第 12 章 事実の錯誤(2)[井田]
1 錯誤が異なった構成要件にまたがるとき
何が問題か 主観面と客観面の符合
2 学説と判例
厳格な構成要件的符合説 抽象的符合説 法定的符合説
3 符合の限界
ケーススタディ
4 まとめ
第 13 章 過失(犯)[丸山]
1 不注意,過失,過失犯
不注意な行為も処罰されることがある 注意義務違反としての過失
過失(犯)をめぐる学説
2 注意義務(違反)の認定
予見義務(予見可能性) 不注意の競合
3 管理者・監督者の過失
管理・監督過失
4 まとめ
第 14 章 結果的加重犯[丸山]
1 特殊な複合形態の犯罪
犯罪類型としての特殊性 法定刑の加重根拠
危険運転致死傷罪の罪質
2 犯罪形態としての特殊性に起因する問題
軽微な致傷の扱い 重い結果の故意的実現の扱い
結果的加重犯の未遂
3 まとめ
第 15 章 可罰的違法性(論)[丸山]
1 可罰的違法性という考え方
犯罪とその確認方法 構成要件と違法性・責任との関係
実質的違法論と可罰的違法性論 可罰的違法性が欠ける類型
2 可罰的違法性が問題になる事例
処罰に値しない軽微な違法 処罰すべき軽微な違法?
違法の相対性
3 まとめ
第 16 章 正当防衛[井田]
1 違法性阻却事由としての正当防衛
違法性阻却事由とは 正当防衛と緊急避難
成立要件を比較すると
2 正当防衛の限界
侵害の急迫性 防衛の意思 やむをえずにした行為
挑発行為と正当防衛権の濫用
3 正当防衛と過剰防衛
過剰防衛とは 防衛行為の必要性と相当性 行為か結果か
4 まとめ
第 17 章 緊急避難[井田]
1 緊急避難の法的性格
正当防衛と緊急避難 緊急避難の本質
違法性阻却事由説と責任阻却事由説 二分説
2 刑法 37 条の解釈
緊急避難の要件 現在の危難 避難行為
法益の均衡 強要緊急避難 自招危難
3 まとめ
第 18 章 安楽死と尊厳死,終末期医療[丸山]
1 人の生命と刑法
生命の放棄は許されるか 安楽死と尊厳死
2 安楽死
どのような形の安楽死が問題なのか
名古屋高裁判決の6要件 横浜地裁判決の4要件
3 尊厳死
何が問題なのか 尊厳死の正当化要件
4 終末期医療
医療行為の中止 治療義務の限界の判断
5 まとめ
第 19 章 責任能力[丸山]
1 責任能力,責任無能力,限定責任能力
行為者に対する法的非難の前提 刑法が予定する責任能力の状態
責任無能力・限定責任能力の規定方法と判定方法
裁判における責任能力の判断
2 行為と責任(能力)の同時存在
同時存在の原則は徹底できるか?
責任無能力状態の利用という構成 同時存在の原則の拡張
過失犯の場合
3 まとめ
第 20 章 違法性の錯誤[井田]
1 違法性の錯誤の取り扱い
違法性の錯誤とは 事実の錯誤と違法性の錯誤
2 違法性の意識の具体的内容
違法性の錯誤にいう「違法性」とは
反道徳性・法違反性・可罰的刑法違反性 科刑の予測可能性の保障
3 違法性の錯誤の回避可能性
行為の違法性と有責性 責任能力論との関連性
回避可能性の具体的基準
4 違法性の錯誤と事実の錯誤の区別
区別のための判断基準
5 まとめ
第 21 章 違法性阻却事由の錯誤[井田]
1 違法性阻却事由の錯誤とは
何が問題か 事実の錯誤か違法性の錯誤か
2 学説における議論の状況
通説の論拠 違法だが責任はない 通説の問題点
厳格責任説
3 誤想防衛の諸類型
誤想防衛の3つの態様
4 誤想過剰防衛
誤想過剰防衛とは
5 まとめ
第 22 章 実行の着手[丸山]
1 犯罪の実現段階と刑法
犯罪の実現段階と処罰の拡張 予備罪・陰謀罪
未遂犯,「実行の着手」の意義
2 「実行の着手」の認定
「実行の着手」に関する学説 判例における形式的客観説
実質的客観説の採用?
3 まとめ
第 23 章 不能犯[井田]
1 未遂処罰の根拠
既遂と未遂 犯罪の主観面と客観面 結果か行為か
2 結果無価値論と行為無価値論
見解の相違点 事前判断と事後判断 刑法の存在理由との関係
3 未遂犯と不能犯の区別
行為の危険はどのように判断されるか 3つの学説
4 危険判断の標準
誰の法則的知識によるか ただの一般人か,科学的一般人か
5 まとめ
第 24 章 中止犯[井田]
1 刑の(必要的)減免の根拠
中止犯とは 政策説 法律説――責任減少説と違法減少説
中止犯における理論と政策
2 中止行為の任意性
「自己の意思により」 具体例の検討
3 中止行為
着手中止と実行中止 客観説・主観説・折衷説
中止行為の「真摯性」
4 結果の不発生
結果の不発生と「因果関係」の要否
5 まとめ
第 25 章 正犯と共犯[井田]
1 実行行為と正犯行為
実行行為とは何か 実行行為と危険性
正犯行為としての実行行為
2 正犯と共犯の区別
正犯の種類,共犯の種類 正犯の概念 危険性か支配性か
共犯の概念 正犯と共犯の関係
3 間接正犯
間接正犯とは 間接正犯の成立する場合 間接正犯否認論
4 まとめ
第 26 章 共同正犯[丸山]
1 共同で実現した犯罪の扱い
共同正犯の意義と効果 共同正犯の成立要件
犯罪共同説と行為共同説
2 共同正犯の成否が問題になりうる場合
実行行為を分担しない共同現象 不注意の共同現象
共同者間の不一致
3 まとめ
第 27 章 共犯の従属性―共犯の処罰根拠[井田]
1 共犯の従属性
いわゆる実行従属性 いわゆる要素従属性
要素従属性の緩和?
2 共犯の処罰根拠
「堕落説」と「惹起説」 従属性による修正?
3 未遂の教唆
未遂の教唆とは 教唆犯肯定説と不可罰説
4 まとめ
第 28 章 従犯(幇助犯)[丸山]
1 正犯を手助けする犯罪者
従犯の意義 従犯の処罰根拠 促進関係
2 さまざまな形態の手助け
幇助行為の無限定性 精神的幇助 片面的幇助
不作為による幇助 間接幇助
3 正犯との不一致
従犯における錯誤(過剰)
4 まとめ
第 29 章 共犯の関連問題[丸山]
1 共犯の関連問題の2面性
共犯の意義と関連問題
2 共犯に固有の問題
不作為(犯)と共犯 共犯関係の解消
3 共犯に関連する問題
違法性阻却事由と共犯 中止未遂と共犯
4 まとめ
第 30 章 共犯と身分[井田]
1 身分犯の共犯
身分犯とは 2種類の身分犯 65 条1項と2項の関係
共犯従属性説の徹底 違法身分と責任身分 通説・判例の立場
2 身分とは何か
判例と学説 事後強盗罪は身分犯か
3 65 条1項・2項の解釈
65 条1項 65 条2項
4 まとめ
第 31 章 犯罪の数(罪数)[丸山]
1 犯罪にも数がある
犯罪の数を論じる意味 罪数を決定する標準(基準)
一罪と数罪
2 本来的一罪
法条競合 包括(的)一罪 包括一罪の成否
3 科刑上一罪
観念的競合と牽連犯 観念的競合の成否 牽連犯の成否
4 まとめ
第 32 章 刑罰制度[丸山]
1 わが国の刑罰制度はどうなっているか
刑罰の意義と機能 刑罰の種類 主刑 付加刑
2 死刑をめぐる問題
死刑と憲法 死刑の選択基準
3 没収をめぐる問題
第三者没収と憲法 没収における罪刑の均衡
4 まとめ
事項索引