書籍詳細:ケーススタディ刑法[第3版]

ケーススタディ刑法[第3版]

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  • 紙の書籍
定価:税込 3,410円(本体価格 3,100円)
在庫なし
発刊年月
2011.06
ISBN
978-4-535-51677-9
判型
A5
ページ数
416ページ
Cコード
C3032
ジャンル
難易度
テキスト:初級

内容紹介

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事例で学べば、刑法も面白い。具体的事例を通じて立体的に学ぶ刑法総論の基礎。法改正や判例・学説の動きに対応して、待望の新版化。

目次

第3版のはしがき

凡例

第1章 刑法と道徳[井田]

 1 刑法は何のためにあるか

    刑法による道徳の強制?   被害者のない犯罪   法益概念の内容

 2 自己決定権の限界としての反道徳性?

    自己決定権とは何か   被害者の同意――とくに同意傷害の違法性

    自己決定権の内在的制約

 3 まとめ

第2章 罪刑法定主義[丸山]

 1 法律がなければ犯罪も刑罰もない

    罪刑の専断と罪刑法定主義   罪刑法定主義の古典的内容

    罪刑法定主義の現代的内容

 2 わが国の刑法と罪刑法定主義

    何が問われているか   特別刑法における過失犯

    条例への罰則の委任   明確な規定?

 3 まとめ

第3章 責任主義[丸山]

 1 責任がなければ刑罰はない

    責任主義の意義   責任があれば刑罰がある?   責任主義の内容

 2 責任主義の徹底

    主観的責任の原則との調和   個人責任の原則との調和

    個人責任の原則の例外

 3 まとめ

第4章 刑法の解釈[井田]

 1 刑法解釈の基準と刑法解釈の限界

    刑法の解釈と適用   解釈方法の形式的分類

    解釈選択の実質的基準   目的論的解釈の限界

 2 ケーススタディ

    逃がすことも「傷害」か   「公然陳列」の意義   胎児性致死傷

 3 まとめ

第5章 結果無価値論と行為無価値論[丸山]

 1 「結果」が悪いのか,それとも「行為」が悪いのか

    形式的違法性と実質的違法性   ふたつのアプローチ

    主観的違法要素

 2 結果無価値論と行為無価値論の歩み寄り

    一元論と二元論   ふたたびケース1について

    主観的正当化要素としての「防衛の意思」   偶然防衛

 3 まとめ

第6章 刑法の適用(効力)[丸山]

 1 刑法の効力が及ぶ時間的範囲

    時間的適用範囲に関する原則   刑法の効力の発生時点

    刑罰法規の追及効?

 2 刑法の効力が及ぶ場所的範囲

    場所的適用範囲に関する原則   犯罪地の意義

    明文のない国外犯処罰?

 3 まとめ

第7章 構成要件要素[丸山]

 1 犯罪成立の第1段階

    犯罪の確認方法と犯罪論体系   犯罪の型と構成要件要素

 2 犯罪の主体と客体

    犯罪の主体   犯罪の客体

 3 行為と結果

    行為   結果

 4 まとめ

第8章 不真正不作為犯[井田]

 1 なぜ問題となるのか

    不真正不作為犯とは   罪刑法定主義違反?   保証者説

 2 ケーススタディ

    不真正不作為犯の成否の判断   保証義務の発生根拠の多元性

 3 まとめ

第9章 因果関係[井田]

 1 刑法における因果関係の問題

    刑法的評価の問題としての「因果関係」

 2 前提としての条件関係

    条件関係の公式とその適用   公式を修正すべきか

 3 相当因果関係

    相当因果関係説とは   折衷説か客観説か

    なぜ判例は相当因果関係説を採用しないか

 4 結果帰属の実質的根拠

 5 まとめ

第 10 章 故意[井田]

 1 故意とは何か

    故意行為を重く処罰する理由

 2 故意における事実認識の程度

    あてはめの錯誤は故意を阻却しない   意味の認識

    薬物犯罪における意味の認識   「類的認識」としての事実認識

 3 確定的故意と不確定的故意

    故意の種類   3つの不確定的故意

 4 未必の故意

    故意は意思か認識か   未必の故意をめぐる学説

    認容説   実現意思説   盗品等に関する罪の故意

 5 まとめ

第 11 章 事実の錯誤(1)[井田]

 1 刑法における錯誤論

    錯誤とは   故意を阻却する錯誤と阻却しない錯誤

 2 事実の錯誤と違法性の錯誤

    事実の誤りと評価の誤り   2つの錯誤を区別する理由

 3 具体的事実の錯誤

    法定的符合説と具体的符合説   故意の個数?

    具体的符合説の難点

 4 まとめ

第 12 章 事実の錯誤(2)[井田]

 1 錯誤が異なった構成要件にまたがるとき

    何が問題か   主観面と客観面の符合

 2 学説と判例

    厳格な構成要件的符合説   抽象的符合説   法定的符合説

 3 符合の限界

    ケーススタディ

 4 まとめ

第 13 章 過失(犯)[丸山]

 1 不注意,過失,過失犯

    不注意な行為も処罰されることがある   注意義務違反としての過失

    過失(犯)をめぐる学説

 2 注意義務(違反)の認定

    予見義務(予見可能性)   不注意の競合

 3 管理者・監督者の過失

    管理・監督過失

 4 まとめ

第 14 章 結果的加重犯[丸山]

 1 特殊な複合形態の犯罪

    犯罪類型としての特殊性   法定刑の加重根拠

    危険運転致死傷罪の罪質

 2 犯罪形態としての特殊性に起因する問題

    軽微な致傷の扱い   重い結果の故意的実現の扱い

    結果的加重犯の未遂

 3 まとめ

第 15 章 可罰的違法性(論)[丸山]

 1 可罰的違法性という考え方

    犯罪とその確認方法   構成要件と違法性・責任との関係

    実質的違法論と可罰的違法性論   可罰的違法性が欠ける類型

 2 可罰的違法性が問題になる事例

    処罰に値しない軽微な違法   処罰すべき軽微な違法?

    違法の相対性

 3 まとめ

第 16 章 正当防衛[井田]

 1 違法性阻却事由としての正当防衛

    違法性阻却事由とは   正当防衛と緊急避難

    成立要件を比較すると

 2 正当防衛の限界

    侵害の急迫性   防衛の意思   やむをえずにした行為

    挑発行為と正当防衛権の濫用

 3 正当防衛と過剰防衛

    過剰防衛とは   防衛行為の必要性と相当性   行為か結果か

 4 まとめ

第 17 章 緊急避難[井田]

 1 緊急避難の法的性格

    正当防衛と緊急避難   緊急避難の本質

    違法性阻却事由説と責任阻却事由説   二分説

 2 刑法 37 条の解釈

    緊急避難の要件   現在の危難   避難行為

    法益の均衡   強要緊急避難   自招危難

 3 まとめ

第 18 章 安楽死と尊厳死,終末期医療[丸山]

 1 人の生命と刑法

    生命の放棄は許されるか   安楽死と尊厳死

 2 安楽死

    どのような形の安楽死が問題なのか

    名古屋高裁判決の6要件   横浜地裁判決の4要件

 3 尊厳死

    何が問題なのか   尊厳死の正当化要件

 4 終末期医療

    医療行為の中止   治療義務の限界の判断

 5 まとめ

第 19 章 責任能力[丸山]

 1 責任能力,責任無能力,限定責任能力

    行為者に対する法的非難の前提   刑法が予定する責任能力の状態

    責任無能力・限定責任能力の規定方法と判定方法

    裁判における責任能力の判断

 2 行為と責任(能力)の同時存在

    同時存在の原則は徹底できるか?

    責任無能力状態の利用という構成   同時存在の原則の拡張

    過失犯の場合

 3 まとめ

第 20 章 違法性の錯誤[井田]

 1 違法性の錯誤の取り扱い

    違法性の錯誤とは   事実の錯誤と違法性の錯誤

 2 違法性の意識の具体的内容

    違法性の錯誤にいう「違法性」とは

    反道徳性・法違反性・可罰的刑法違反性   科刑の予測可能性の保障

 3 違法性の錯誤の回避可能性

    行為の違法性と有責性   責任能力論との関連性

    回避可能性の具体的基準

 4 違法性の錯誤と事実の錯誤の区別

    区別のための判断基準

 5 まとめ

第 21 章 違法性阻却事由の錯誤[井田]

 1 違法性阻却事由の錯誤とは

    何が問題か   事実の錯誤か違法性の錯誤か

 2 学説における議論の状況

    通説の論拠   違法だが責任はない   通説の問題点

    厳格責任説

 3 誤想防衛の諸類型

    誤想防衛の3つの態様

 4 誤想過剰防衛

    誤想過剰防衛とは

 5 まとめ

第 22 章 実行の着手[丸山]

 1 犯罪の実現段階と刑法

    犯罪の実現段階と処罰の拡張   予備罪・陰謀罪

    未遂犯,「実行の着手」の意義

 2 「実行の着手」の認定

    「実行の着手」に関する学説   判例における形式的客観説

    実質的客観説の採用?

 3 まとめ

第 23 章 不能犯[井田]

 1 未遂処罰の根拠

    既遂と未遂   犯罪の主観面と客観面   結果か行為か

 2 結果無価値論と行為無価値論

    見解の相違点   事前判断と事後判断   刑法の存在理由との関係

 3 未遂犯と不能犯の区別

    行為の危険はどのように判断されるか   3つの学説

 4 危険判断の標準

    誰の法則的知識によるか   ただの一般人か,科学的一般人か

 5 まとめ

第 24 章 中止犯[井田]

 1 刑の(必要的)減免の根拠

    中止犯とは   政策説   法律説――責任減少説と違法減少説

    中止犯における理論と政策

 2 中止行為の任意性

    「自己の意思により」   具体例の検討

 3 中止行為

    着手中止と実行中止   客観説・主観説・折衷説

    中止行為の「真摯性」

 4 結果の不発生

    結果の不発生と「因果関係」の要否

 5 まとめ

第 25 章 正犯と共犯[井田]

 1 実行行為と正犯行為

    実行行為とは何か   実行行為と危険性

    正犯行為としての実行行為

 2 正犯と共犯の区別

    正犯の種類,共犯の種類   正犯の概念   危険性か支配性か

    共犯の概念   正犯と共犯の関係

 3 間接正犯

    間接正犯とは   間接正犯の成立する場合   間接正犯否認論

 4 まとめ

第 26 章 共同正犯[丸山]

 1 共同で実現した犯罪の扱い

    共同正犯の意義と効果   共同正犯の成立要件

    犯罪共同説と行為共同説

 2 共同正犯の成否が問題になりうる場合

    実行行為を分担しない共同現象   不注意の共同現象

    共同者間の不一致

 3 まとめ

第 27 章 共犯の従属性―共犯の処罰根拠[井田]

 1 共犯の従属性

    いわゆる実行従属性   いわゆる要素従属性

    要素従属性の緩和?

 2 共犯の処罰根拠

    「堕落説」と「惹起説」   従属性による修正?

 3 未遂の教唆

    未遂の教唆とは   教唆犯肯定説と不可罰説

 4 まとめ

第 28 章 従犯(幇助犯)[丸山]

 1 正犯を手助けする犯罪者

    従犯の意義   従犯の処罰根拠   促進関係

 2 さまざまな形態の手助け

    幇助行為の無限定性   精神的幇助   片面的幇助

    不作為による幇助   間接幇助

 3 正犯との不一致

    従犯における錯誤(過剰)

 4 まとめ

第 29 章 共犯の関連問題[丸山]

 1 共犯の関連問題の2面性

    共犯の意義と関連問題

 2 共犯に固有の問題

    不作為(犯)と共犯   共犯関係の解消

 3 共犯に関連する問題

    違法性阻却事由と共犯   中止未遂と共犯

 4 まとめ

第 30 章 共犯と身分[井田]

 1 身分犯の共犯

    身分犯とは   2種類の身分犯   65 条1項と2項の関係

    共犯従属性説の徹底   違法身分と責任身分   通説・判例の立場

 2 身分とは何か

    判例と学説   事後強盗罪は身分犯か

 3 65 条1項・2項の解釈

    65 条1項   65 条2項

 4 まとめ

第 31 章 犯罪の数(罪数)[丸山]

 1 犯罪にも数がある

    犯罪の数を論じる意味   罪数を決定する標準(基準)

    一罪と数罪

 2 本来的一罪

    法条競合   包括(的)一罪   包括一罪の成否

 3 科刑上一罪

    観念的競合と牽連犯   観念的競合の成否   牽連犯の成否

 4 まとめ

第 32 章 刑罰制度[丸山]

 1 わが国の刑罰制度はどうなっているか

    刑罰の意義と機能   刑罰の種類   主刑   付加刑

 2 死刑をめぐる問題

    死刑と憲法   死刑の選択基準

 3 没収をめぐる問題

    第三者没収と憲法   没収における罪刑の均衡

 4 まとめ

事項索引