書籍詳細:福島原発多重人災 東電の責任を問う

福島原発多重人災 東電の責任を問う 被害者の救済は汚染者負担の原則で

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  • 紙の書籍
定価:税込 1,760円(本体価格 1,600円)
在庫なし
発刊年月
2012.03
ISBN
978-4-535-58599-7
判型
A5判
ページ数
184ページ
Cコード
C3036
ジャンル

内容紹介

水素爆発だけではなかった。海水注入は愚策。従来の説明の矛盾をつき、大事故、大汚染を起こした責任を追及する。

目次

1 原発震災の歴史的意味……山崎久隆



第1章 原発震災前史

取り返しのできない事故

大事故の予兆

福島第一原発2号機:1981年5月

福島第二原発3号機:1989年1月

福島第一原発3号機:1978年

福島第一原発2号機の「電源喪失」事故

確率的安全性評価

「想定外」の「想定」とは何か



第2章 自然の力を軽視したツケ

津波は「予想外だった」は通用しない

原発の危機はとっくに予測されていた

福島第一で発生した電源喪失事故

地震の揺れは「想定内」か

それは「外部電源喪失」から始まった

地震による配管破損の疑い

熱の正体

放射能放出の経路



第3章 次に原発震災が起きる場所

原発が海岸立地であるわけ

断層と原発

大飯原発

玄海原発

志賀原発

柏崎刈羽原発

誘発地震

連動地震

砂上の楼閣:浜岡原発

浜岡原発で予想される地震破壊



第4章 福島第一原発で起きたことの再検証

3月11日~15日

海水投入の是非

汚染水処理の問題

建屋爆発

放射能拡散予測を隠す

炉心損傷を食い止めることができたか

汚染の拡大は海に

耐震・対津波補強も急務

オールジャパンではなく世界へ救援要請を



第5章 電力不足キャンペーンのウソ

電力を浪費する原発

恣意的な「供給力」情報

系統連系

原発なしでも電気は不足しない

東電の需給

「計画停電」が行われた理由

すぐに立ち直った火力発電所

原子力は不安定



第6章 今後も続く、とてつもない危機

核廃棄物処理施設爆発事故の波紋

東海村の97年事故との類似性

東海村とマルクール

六ヶ所村とマルクール

地震と六ヶ所再処理工場

日本の原子力政策の象徴「もんじゅ」



2 これは事故を超えて犯罪だ……槌田敦



第7章 考え得る原発過酷事故の勢揃い

何が起こったか

事故は地震で始まった

東電が発表した「中間報告」のまやかし

原発過酷事故時の基本操作

1号機:地震で配管の破損か、津波以前に冷却失敗

1号機の配管破損と炉心崩壊の時期

東電と保安院による計算

津波によりECCS電源水浸し

欠陥品だった1号機の非常用復水器

1号機格納容器のベントで大量に放射能放出

1号機の水素爆発とその影響

1号機経過のまとめ

2号機:隔離時冷却系で乗り切った唯一の成功例

高圧注水系を使用せず、せっかくの努力も無駄に

逃し安全弁開放による放射能の大量放出

水素爆発どころか、格納容器の破裂もなかった

1、2号機の経過のまとめ:最大の過失は電源回復の遅れ

3号機:隔離時冷却系不調、高圧注水系の不使用で冷却失敗

ECCS/高圧注水系を使おうとしなかった東電

3号機でも格納容器は健全だった

3号機の経過のまとめ

水素爆発では説明不可能な3号機、4号機の爆発

3号機の使用済み燃料プールで起きたチェルノブイリ型の核爆発

中性子計測結果の改ざんの疑惑

4号機の原子炉の爆発、JCO型の核暴走と水蒸気爆発

検査工程表を出さない東電

4号機原子炉内の核暴走を裏付ける証拠

次々と変更される使用済み核燃料プールの集合体数

3号機の核爆発と4号機の核暴走の違い

事故の時系列と運命を左右した風向き

福島第一原発事故の原因は何か

核の問題ではウソはつけない

冷温停止状態という宣言

[コラム]マグニチュード9とは



第8章 福島原発事故による人体被害

日本における3度目の原子力災害

双葉病院、患者440人、避難死45人

福島原発事故で自殺者相次ぐ

衝撃的事実としての原爆症

暗いニュースをもうひとつ、耳のないウサギ

放射能汚染地図

原発事故の放射能を避けるには

ヨウ素、セシウムによる内部被曝が問題

被曝は10倍ごとに影響が違う

福島県住民の受けた被曝によるがん死者数の予想

被曝影響調査

放射線業務手当と放射線居住手当

[コラム]ベータ線による内部被曝



第9章 汚染日本で暮らすための汚染者負担の原則

毒物まいて「無主物」という東電

汚染者負担の原則PPP

被曝限度(許容量)とは我慢量

被曝限度は自分で決める

汚染地域での食料、水をどうするか

汚染した土地を回復する

有効な除染方法は熱湯の散布

アンモニア肥料も有効

セシウムを溶かして地下水にすることの問題点

ホットスポットなどの対策

[コラム]「エネルギー問題」という大ウソ



第10章 未必の故意による事故と業務上過失で拡大した被害

PPP、刑法、民法適用の条件

刑事事件1:未必の故意による傷害致死罪

東電は巨大原発事故が起こったときの被害の大きさを知っていた

未必の故意としての原発災害

立地条件の改悪と形ばかりの防波堤:歴代社長の罪

高圧注水系電源の津波対策を怠った:勝俣会長の罪

原子炉内の計測を7時間以上も不能にした:歴代社長の罪

水素逃し口を作らず、1号機の建屋を水素爆発にいたらせた:歴代社長の罪

1号機における非常用復水器の欠陥を放置:勝俣会長の罪

2~6号機における残留熱除去系から蒸気凝縮系を削除:勝俣会長の罪

刑事事件2:業務上過失による致死傷罪

吉田所長の過失が福島事故による災害を拡大した

民事事件としての福島原発事故

東電はなぜ犯罪に追い込まれたか





3 [討論]福島原発事故の疑問を解く……槌田敦・山崎久隆・原田裕史



地震と津波

4号機の原子炉

原子炉崩壊

3号機で起こったこと

使用済み燃料核プール

2号機で起こったこと

手間取った電源復旧

海水注入

ウェット・ベントのはずがドライ・ベントに

賠償のスキーム

結局、原発の意義は核兵器を持つため?

規制値はまだまだ高すぎる

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■2012年6月21日付『日刊ゲンダイ』