書籍詳細:バングラデシュ農村にみる外国援助と社会開発

バングラデシュ農村にみる外国援助と社会開発

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  • 紙の書籍
定価:税込 6,050円(本体価格 5,500円)
在庫なし
発刊年月
2016.02
ISBN
978-4-535-55849-6
判型
A5判
ページ数
364ページ
ジャンル

内容紹介

先行研究の分析と現地調査に基づき、バングラデシュで行われてきた日米主導による援助・開発が、農村居住者各層に及ぼした影響について分析している。また、社会開発を推進する市民社会の活動およびその活動への貧困層の参加についても現地調査を行い、外国援助や開発では周辺におかれてきた貧困女性の参加実態や家族の生活への影響を十年以上にわたってみることで、社会開発を推進するうえでの市民社会の役割を検証している。

本書を推薦します!
早稲田大学名誉教授 西川潤 
世界の最貧国の一つバングラデシュでは、1960年代以来、先進国の援助競争が展開され、「援助のショーウィンド」と呼ばれてきた。本書は10年以上にわたる現地調査に基づいて、日米主導による先進国の戦略や思い込みによる援助・開発が、農村で貧富格差をひろげ、むしろ貧困を拡大してきた実情を明らかにした。これに対して、市民社会諸団体が、草の根レベルで社会開発活動を進めている。トップダウン型の開発では農村内の権力構造を経由するために、女性等貧困層は依然として周辺的立場に置かれがちだが、NGOの開発活動は、貧困層に立脚し、彼女・彼らの主体的参加を促進している。
本書は豊富な実例を提示し、市民社会の草の根活動を通じて、貧困層の内発的創意やエンパワメント、自立が着実に強まっている事実を分析した。バングラデシュは「被援助大国」と伝えられるが、実際は「NGO大国」である事情を解明した画期的な研究として推薦します。 

目次

序章
 1 研究の背景
 2 研究目的、研究仮説および研究方法
 3 分析の枠組みー用語の定義
 4 バングラデシュ・クミッラ県の特徴

第1章 コミラモデル――先進国が持ち込む農村開発の虚実
 1 はじめに
 2 コミラモデルの実像――アメリカの関与
 3 コミラモデルの矛盾
 4 小括

第2章 日本ODAの検証――モデル農村開発計画 
 1 はじめに
 2 バングラデシュへの外国援助ー日米ODAの検証
 3 モデル農村開発計画
 4 小括

第3章 クミッラ県ダウドゥカンディ郡にみる農村居住者へのインパクト
――貧富格差のダイナミクス
 1 はじめに
 2 貧困層の生活状態と参加の検証
 3 TCCA傘下にある各組合メンバーの生活状態と参加の検証――援助への期待と依存
 4 富裕層(既得権益者)の生活状態と参加の検証――開発・近代農法普及による利益拡大
 5 小括

第4章 内発的発展を担う市民社会――クミッラ県ダウドゥカンディ郡
 1 はじめに
 2 BRAC(現地NGO)――草の根レベルでの活動と貧困女性の参加
 3 グラミン銀行――貧困女性の組織化とエンパワメント
 4 ASA(現地NGO)――ダウドゥカンディ郡Gauユニオンでの活動
 5 市民社会と最貧困層の参加(2000~2012年)
 6 小括

あとがき