書籍詳細:植物の和名・漢名と伝統文化

植物の和名・漢名と伝統文化

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  • 紙の書籍
定価:税込 9,020円(本体価格 8,200円)
在庫なし
発刊年月
2016.09
ISBN
978-4-535-58701-4
判型
A5判
ページ数
620ページ
Cコード
C3045
ジャンル
難易度
テキスト:中級

内容紹介

「はぎ」の漢字「萩」は、それが秋の草花だからではない。名称にまつわる混乱をただし、植物に寄り添った生活の実感を取り戻す好著。

目次

[第一部 植物名称の基本問題]
第一章 桂、楓、かつら
一.「月のかつら」はどんな木か
二.中国の「桂」
三.日本の古典の「かつら」
四.「桂」の本草としての受容
五.二種類の「かつら」
六.まとめ               

第二章 楓、かえで
一.「楓」を「かえで」と読む〝誤り〟
二.「かえで」の定義
三.中国の「楓(ふう)」
四.日本における「楓」
五.「かえで」を表す漢字
六.「かえで」への回帰

第三章 紫荊花、はなすおう

第四章 蓬、艾、よもぎ
一.中国古典における「蒿」と「艾」
二.中国古典における「蓬」
三.「蓬」の形骸化と肯定的評価
四.中国古典における「蓬」「蒿」「艾」の混同
五.日本漢詩文における「蓬」「蒿」「艾」
六.和歌・和文における「よもぎ」


[二部 植物の文化と和名・漢名]

第五章 柏、かしわ――誤写とそれを受け容れる背景⑴
一.中国古典の「柏」 
二.古辞書の中の「柏」
三.日本漢詩の「柏」
四.日本の古典における「柏」
五.まとめと補遺

第六章 杜、社、もり――誤写とそれを受け容れる背景⑵
一.「杜」「社」誤写説の検証
二.「もり」を「杜」と表記する積極的理由
三.まとめ

第七章 中国の楊柳
一.ヤナギ科の樹木の特徴
二.『毛詩』の[楊」と「柳」
三.漢代以降の「楊」と「柳」

第八章 日本のやなぎ
一.中国古典の楊と柳
二.『万葉集』における楊と柳
三.日本漢詩における楊と柳
四.その他の古典の楊と柳
五.まとめ

第九章 椿、つばき――国字説の誤り⑴
一.中国の椿
二.日本での「椿」
三.おわりに

第十章 樗、しんじゅ
一.『本草綱目』以降の「樗」
二.六朝時代以前の「樗」
三.辞書類における「樗」の姿
四.「椿」と「樗」の区別
五.日本における「樗」の同定
六.日本における同定の検証
七.「樗=シンジュ」説を補強するもの

第十一章 萩、芽――日本の「はぎ」の表記
一.「はぎ」と日本人
二.『万葉集』以前の「はぎ」の表記
三.『万葉集』の「はぎ」
四.『万葉集』の「芽」
五.漢詩文の「はぎ」
六.牙・牙子・芽・芽子・狼牙・狼芽
七.「はぎ」を「芽(子)」と書く理由⑴
八.「はぎ」を「芽(子)」と書く理由⑵
九.「萩」を「はぎ」と訓む始め

第十二章 萩、はぎ――国字説の誤り⑵
一.「萩」の国字説・国訓説
二.中国における「はぎ」の表記――「胡枝子」と「萩」「蕭」
三.日本における「萩」の受容
四.結 論 
 
第十三章 楸、梓、榎、きささげ、あずさ、えのき
一.中国古典の「楸」「梓」「榎」
二.「楸」「梓」「榎」の同定
三.日本における「楸」「梓」「榎」
四.日本における「えのき」と「あずさ」
五.「楸」「梓」「榎」と「えのき」「あずさ」(試論)

第十四章 茱萸、ぐみ――本草の誤同定⑴
一.「ぐみ」
二.「茱萸」
三.本草としての呉茱萸、山茱萸、胡頽子
四.まとめ

第十五章 朴、ほお
一.厚朴
二.朴

第十六章 樟、楠、くすのき――本草の誤同定⑵
一.現代的分類法における「樟」と「楠」(クスノキとタブノキ、ナンタブ)
二.中国古典の樟
三.中国古典の楠
四.日本の樟と楠 
五.まとめ

第十七章 弓弦葉――「ゆずりは」の語源
一.ユズリハの形態と、名称の由来に関する通説
二.諸史料から見た「ゆずりは」
三.「ゆずりは」の名称の由来
四.まとめ

第十八章 棡、(木へんに葉という漢字)――「ゆずりは」の漢字表記
一.「ゆずりは」の日本での漢字表記
二.「杠」「杜」「棡」
三.「楪」「(木へんに葉という漢字)」
四.まとめ

第十九章 交譲木、ゆずりは――漢名の逆輸出
一.中国古典の「交譲木」と「楠」
二.日本での「交譲木」と「楠」
三.ユズリハ(ゆづりは)の現代中国名
四.まとめ
第二十章 槐、えんじゅ
一.樹木の名称と種類
二.中国での重要度・存在感
三.樹蔭、街路樹
四.政治的意義
五.信仰と民俗・故事
六.字形・字音・語源
七.まとめ


[第三部 辟邪と防御の植物]

第二十一章 柊、ひいらぎ
一.「柊」字の用例
二.「柊楑」とは
三.「終」「冬」の意義
四.「柊葉」の特徴
五.「柊葉」と「冬」「終」「苳」
六.「柊楑」と「楑」
七.ヒイラギという樹木
八.モチノキ科の樹木との関係
九.混乱または〝細分化以前〟の状況
十.ヒイラギの語源
十一.ヒイラギの民俗
十二.辟邪の矛
十三.古辞書における「ひいらぎ」の表記
十四.近世の「ひいらぎ」の表記
十五.まとめ

第二十二章 楝、せんだん
一.栴檀と白檀
二.センダン

第二十三章 蘭、ふじばかま
一.中国のラン
二.「蘭」はランか
三.『本草綱目』の「蘭」の分類法
四.〝唐代以前の「蘭」=フジバカマ〟の説
五.『詩経』の「蕑」
六.『楚辞』の「蘭」
七.ランを身につけること
八.「蘭」と「木蘭」
九.孔子と「蘭」
十.唐代以前の「蘭」
十一.宋代の「蘭」
十二.江南の「蘭」
十三.本草学の「蘭」
十四.「蘭」の漢字学