書籍詳細:対外摩擦の政治経済学

対外摩擦の政治経済学

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  • 紙の書籍
定価:税込 2,090円(本体価格 1,900円)
在庫なし
発刊年月
1995.09
旧ISBN
4-535-55031-X
ISBN
978-4-535-55031-5
判型
四六判
ページ数
264ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

拡大の一途をたどる日本の対外経済摩擦──それは、伝統的な経済学や政治学では捉えきれない「制度摩擦」である。米、欧、アジアの新たな動きと日本経済が抱える根本的な問題を政治経済学の視点から明快に解きあかす。

目次

第1章 現代国際政治経済問題の展望
伝統的な国際関係の変容
国際政治経済学の役割
各国経済の相互依存関係の深まり
国内・国際問題の関連の強まり
制度間競争の時代
国内制度の国際的統一への潮流
地域経済統合の高まり
世界の人口と地球環境問題
政治経済学の役割
第2章 戦後国際経済体制の成立と変貌
国際公共財としての国際経済体制
ブレトン・ウッズ体制の成立
ブレトン・ウッズ体制の崩壊
変動為替相場制への移行
石油危機の勃発
変動為替相場の政治経済学的な評価
オイルマネーの還流と累積債務国問題
冷戦後の世界経済
第3章 米国経済の長期的衰退と復活?
労働生産性の長期的な低迷
混乱の1970年代
レーガノミックスの登場
レーガノミックスの帰結
プラザ合意後の米国経済
クリントン政権の課題
第4章 日米経済摩擦はなぜ生じるか
日米経済関係の変化
日本の経常収支黒字の拡大
黒字の拡大は市場の閉鎖性によるものか?
経常黒字は削減すべきか
経常黒字の資源配分的側面
ミクロ的現象としての貿易摩擦
「限定的な保護主義」の論拠
第5章 管理貿易の功罪
拡大する輸出自主規制
自動車産業の戦略性
貿易摩擦と国内労働問題
輸出自主規制の貿易阻害効果
輸出自主規制のコスト
ドル安・円高の効果
輸入の自主的拡大
アファーマティブアクションとVIE
自動車流通市場の閉鎖性
管理貿易としての日米航空摩擦
第6章 日米交渉における「官僚摩擦」
冷戦後の「システム摩擦」高まりの要因
日米官僚システムの比較
官僚と民間大企業との類似性
政治的リーダーシップ機能
総合調整機能の強化と政治改革
国内利益の調整が日米交渉の大前提
第7章 日米企業行動の違いと経済摩擦
企業の所有と経営のとの分離
敵対的企業買収のコスト・ベネフィット
企業利益の配分
経済パフォーマンスへの影響
日本企業の取引慣行
日本的システムの将来の方向
第8章 経済摩擦としての雇用問題
雇用問題のグローバル化
雇用機会をめぐる世界的な競争
雇用調整パターンの違い
日本的雇用慣行と低い失業率
日本的雇用慣行のコスト
固定的雇用慣行の対外的影響
日本的企業行動の変化?
雇用ポートフォリオの変化
第9章 海外直接投資の拡大と産業空洞化
1980年代の海外直接投資の拡大要因
直接投資の内外不均衡
直接投資と産業空洞化
第10章 地球環境保全のための負担の分配
地球環境問題の意味するもの
地球環境の「使用料」
経済成長と環境保全とのトレード・オフ
経済成長とCO2排出量との関係
炭素税の経済活動への影響
環境保全と国際的な所得分配
CO2排出権市場の設定とその配分
省エネルギー技術移転の効果
第11章 欧州経済統合の光と陰
経済統合の利益とは
欧州統合における「拡大」と「深化」
通貨統合の得失
東西ドイツの統合の経験
ソ連・東欧の市場経済化への教訓
欧州経済統合の将来
第12章 東アジア地域経済統合の行方
地域主義の高まり
連鎖的な発展パターン
東アジアの経済発展の特徴
貿易と直接投資との結び付き
開かれた東アジア経済
中国経済の評価
欧州との地域経済統合パターンの違い
(補論)アジアの経済発展は幻か