書籍詳細:体制転換の政治経済社会学

体制転換の政治経済社会学 中・東欧30年の社会変動を解明する

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  • 紙の書籍
定価:税込 5,280円(本体価格 4,800円)
在庫あり
発刊年月
2020.03
ISBN
978-4-535-55967-7
判型
A5判
ページ数
408ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

1989年に始まった中・東欧諸国の体制転換から30年。これまでの体制転換分析の集大成として、30年間の社会変貌と現状を総括する。

目次

まえがき

第1章 体制転換分析の方法論
      ーー理論と現実の乖離

1.1 イデオロギーの呪縛
1.2 先験的思弁モデルの限界
1.3 メタファー/アナロジーの錯覚
1.4 「個別(具体)」と「一般(抽象)」
1.5 経済学の陥穽:実物経済学から金融経済学へ
1.6 GDP至上主義の誤り
1.7 現象論の限界
1.8 歴史主義の限界
1.9 構造=変化の分析


第2章 体制転換の社会哲学―制度と規範

2.1 国民経済計画の不可能性
2.2 体制転換(移行):何から何へ
2.3 交換(give and take)と配分(give, but obey)
2.4 社会の自己崩壊
2.5 体制負債
2.6 自立的に機能しない社会構成体
2.7 アポトーシス型社会とネクローシス型社会
2.8 社会転換のアポリア
2.9 社会的位相転換:「移行」と「転換」
2.10 社会転換のイデオロギー
2.11 ポスト社会主義のイデオロギー


第3章 体制転換の経済学
      ーー体制崩壊恐慌下の資本集積

3.1 体制崩壊恐慌
3.2 体制転換のアポリア
3.3 クーポン民営化と直接投資
3.4 フェイクモデルによる不毛な論争
3.5 体制転換に付随する腐敗現象
補遺―過渡期をめぐる誤解


第4章 ポスト社会主義の経済学
      ーー国家と市場の相克

4.1 高い税負担が市場経済の発展を抑制
4.2 借り物経済の構造
4.3 国民経済の「国庫経済」化
4.4 ポスト社会主義社会の腐敗現象
4.5 国庫経済下の資本蓄積
補遺―社会的規範転換の難しさ


第5章 体制転換の社会学
      ーー国庫経済下の不足現象

5.1 消費生活の変化と新たな不足現象
5.2 移民や出稼ぎがもたらす専門職・技能者の不足
5.3 行列(不足)の社会心理


第6章 体制転換の政治学
      ーー旧体制のレガシーに縛られる政治

6.1 社会党政権の性格と変遷
6.2 SZDSZ消滅の背景
6.3 FIDESZ政権の基盤
6.4 FIDESZの思惑と制度改変
6.5 FIDESZのメディア帝国再興と世論操作
補遺 FIDESZ帝国の前途


第7章 ポスト社会主義とポピュリズム
      ーー難民・移民問題をめぐる東西分裂

7.1 2015年民族大移動
7.2 難民・移民の強制割当案
7.3 ハンガリー政府とジョージ・ソロスの攻防
7.4 ソロス財団への執拗な意趣返し
7.5 EU批判の意味
7.6 EUサミット決議の意味
7.7 欧州議会の制裁決議
7.8 左右のポピュリズム
7.9 欧州東西分裂の社会的要因
補遺 国境管理と強制割当をめぐる攻防


第8章 体制転換の歴史学
      ーー20世紀社会主義を再考する

8.1 東欧社会主義の現実
8.2 ハンガリー動乱とカーダール政権


第9章 20世紀社会主義と体制転換を総括する

9.1 戦時社会主義
9.2 経済改革の限界
9.3 体制転換を理解する10の命題
9.4 社会的規範と倫理