書籍詳細:日本の財政学

日本の財政学 受難と挑戦の軌跡

の画像の画像
  • 紙の書籍
  • 電子書籍
定価:税込 4,840円(本体価格 4,400円)
紙の書籍・POD・アーカイブズの価格を表示しています。
電子書籍の価格は各ネット書店でご確認ください。
在庫僅少
発刊年月
2021.03
ISBN
978-4-535-55988-2
判型
A5判
ページ数
368ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

日本の財政学は戦前・戦後から現在にかけて、どのように展開してきたのだろうか。いま財政学研究に何が求められているのか。

目次

第1章 わが国の財政研究の系譜と軌跡
       ーー独自の発展形態としての「日本の財政学」

第1節 財政の「実際(Practice)」と「理論(Theory)」
第2節 「財政」とは何か:国家政府と国民・個人
     ーー「Public」の持つ二義的な意味あい:
    「上からの公共性」vs.「下からの公共性」
第3節 財政学と国家・政府の類型
     ーー「共同利益」型vs.「自己利益」型
第4節 「実際」と「理論」の整合化に向けて
     ーー「深化」的アプローチと「広域」的アプローチ
第5節 3大財政学派の連携の可能性
     ーー補完的関係の構築への模索
第6節 「説明責任」の財政学
     ーー「外」と「内」のアカウンタビリティ体制の確立
第7節 アカウンタビリティのジレンマ:政府不可謬説の神話
     ーー財政研究者の社会的責任:情報提供と政策論
第8節 3大財政学派の枠をこえて
     ーー財政社会学の新しい構想への動き
第9節 財政学の新勢力の台頭:むすびにかえて
     ーー競争型財政学および行動財政学の可能性


第2章 財政研究の再出発
        ーー「激動の時代」の受難と挑戦

第1節 はじめに代えて
第2節 戦中、戦後期の大学の「混乱」
     ーー東大、京大、阪大、一橋大学のそれぞれの事情
第3節 それは「経済安定政策」と「税制改革」の大実験から始まった
     ーードッジ・ラインとシャウプ勧告の発動
第4節 わが国財政学研究の一大転機
     ーーマスグレイブ「財政理論」のインパクト
第5節 「戦後の財政学者」の挑戦
     ーー木下和夫と林栄夫そして佐藤進を代表として
第6節 財政学研究の「戦後」からの脱却
     ーー各大学の事情と加速化する世代交代
第7節 活性化する学外研究交流
     ーー大学紛争のもたらした副産物


第3章 経済安定政策の存亡の危機
       ーー失業、インフレ、成長の三重苦

第1節 動揺するマクロ経済・計量分析
     ーーマネタリズム・合理的期待形成論と世界経済の混乱
第2節 わが国のマクロ経済学研究の特異な勢力図
     ーーメジャーなケインジアンとマイナーなマネタリスト、
     合理的期待形成論者
第3節 日本経済を襲った世界危機の嵐
     ーーそれは「油断」から始まった
第4節 インフレーションの「原因論争」:真犯人は誰だ?
     ーー財政政策、金融政策、為替政策の確執
第5節 「政策誤謬説」vs.「政策意図説」
     ーー近隣窮乏政策としての調整インフレか
第6節 物価、雇用、不況のトリレンマ
     ーースタグフレーション下の経済安定政策
第7節 ターゲットは失業率か成長率か?
     ーーフィリップス曲線と総供給曲線の相克
第8節 雇用面から評価した財政政策の有効性
     ーー自然失業率と「高雇用妥当性」
第9節 景気から評価した財政政策の有効性
     ーー高雇用余剰分析によるアプローチ


第4章 公共経済学と環境経済学の確立に向けて
       ーー古典派財政学から新古典派財政学へ

第1節 「正」と「負」の公共財理論
     ーー資源配分の効率性と所得分配の両立可能性
第2節 日本人財政研究者の国際デビュー
第3節 公共財をめぐる効率性、公平性そして社会的厚生
第4節 公共財モデルの現実近似化
第5節 公害問題の告発と解決策の模索
     ーーわが国の研究者の取組とその貢献
第6節 環境問題の解決可能性
第7節 環境問題と所有制度(共有制 vs. 私有制)
     ーー費用負担原則、資源配分、所得分配


第5章 租税帰着論の新展開
         ーー税の真の負担者は誰なのか

第1節 新古典派財政学から公共経済学へ
     ーー分析手法の革新と問題意識の拡大
第2節 帰着論から見る高度成長、石油危機、構造変化
     ーー香西、森嶋のリカード・モデルの再評価
第3節 マルクス主義財政学の租税帰着論
     ――柴田敬、置塩信雄、林栄夫の貢献
第4節 部分均衡から一般均衡への架け橋
     ――小島・根岸論争と池田・林(正義)の解説
第5節 集計的新古典派成長経済での帰着分析
     ーー佐藤隆三の時間分析、本間の2階級分析、
     井堀のOG分析
第6節 新古典派「2部門2要素」モデルにおける帰着分析
     ーーハーバーガー標準モデルとその後
第7節 標準モデルからの発展
第8節 「格差の時代」における今後の課題ー発送の転換と技術の革新ー 


第6章 税制改革の理論と実際
       ーー租税論の新展開と税制改革の影響分析

第1節 抜本的税制改革への道程
     ーー財政再建、行政改革、経済活力の狭間で
第2節 揺れ動く租税体系論
     ーー総合所得税論、支出税論、二元性所得税論
第3節 影響力を強める最適課税論
第4節 クール・ヘッドとウォーム・ハートは分離できるのか
第5節 タックス・リフォームvs.タックス・デザイン
第6節 税制改革と不公平税制
第7節 抜本的税制改革の国民生活へのインパクト
第8節 影響分析をめぐる論争点
第9節 所得税,消費税のシミュレーション分析
第10節 法人税と設備投資の計量分析
     

第7章 地方財政研究の系譜と軌跡
       ーー集権(国)対分権(地方)の構図の中で

第1節 財政研究における潮目の変化
     ーー「裏通りの日蔭」から「表通りの日の当たる」学問へ
第2節 地方財政研究への時代の呪縛
     ーー「集権」か「分権」かの狭間で
第3節 地方財政研究の変遷:対立から融和へ
     ーー制度・政策論と理論・実証論の協調
第4節 地方財政研究の数量分析化
     ーー「証拠にもとづく政策形成」への胎動
第5節 地方交付税の構造分析
     ーー「ミラクル」、「ミステリアス」な制度の解析
第6節 三位一体改革のインパクト
     ーー地方財政研究の一大争点に
第7節 三位一体改革の成果とその評価(1)
     ーー税源移譲と国庫補助負担金改革
第8節 三位一体改革の評価(2)ーー地方交付税の簡素化と合併効果
第9節 財源保障と財政調整のジレンマ
     ーーナショナル・ミニマムからマキシマムまで
第10節 台頭する新世紀型の研究者
     ーー地方にはモラル・ハザードが蔓延しているのか?
第11節 地方財政における「実際」、「理論」、「計量」
     ーーフライペーパー、ホールドアップ、ソフト・バジェット


第8章 地方財政学はどこまで進んだのか
       ーー地方分権理論の発展を中心にして

第1節 地方分権理論のパラダイム・シフト
     ーー第1世代(FGT)から第2世代(SGT)へ
第2節 分権理論の2大潮流ーー純粋理論的接近法と応用理論的接近法
第3節 ティブーの「効率性定理」は正しいのか
     ーー市場数、地方政府数、地方政府の行動
第4節 「メンバーシップに応じた均衡」の特徴
     ーーリンダール型、公共的競争型、「足」と「手」による投票型
第5節 なぜ「メンバーシップに応じた均衡」は失敗するのか
     ーー「地域内効率性」と「地域間効率性」の背反
第6節 「(政策)関係に応じた均衡」の基本モデル
     ーー応用理論的アプローチの「効率性定理(1)」
第7節 「競争的戦略均衡」モデルの登場
     ーー応用理論的アプローチの効率性定理(2)
第8節 第1世代(FG)から第2世代(SG)への主役交代へ
     ーー垂直的政府間関係・水平的政府間関係
第9節 地方政府間の水平的競争理論
     ーー租税競争理論の問題点を中心にして
第10節 租税競争理論の限界をどう克服するのか
     ーー地方分権理論の第2世代研究者への注文
第11節 「人間復権」の地方分権理論をーーむすびに代えて