書籍詳細:平和的生存権の展開

平和的生存権の展開

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在庫あり
発刊年月
2021.09
ISBN
978-4-535-52576-4
判型
A5判
ページ数
360ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

前文、第9条で規定する平和的生存権を憲法規範として実体化すべく2008年イラク自衛隊派兵訴訟を基軸に改めてその意義を解明する。

目次

第1部 平和的生存権裁判のひとつの到達点とその後の学説

第1章 平和的生存権論の展開状況
      ――2008年名古屋高裁判決以降の特質
 まえがき――本章の課題
 第1節 平和的生存権論の歩み――判例と学説
 第2節 2008年名古屋高裁判決の画期的意義
 第3節 学説の対応状況とその特徴
 あとがき――次への課題

 補説1 自衛隊イラク派兵違憲訴訟・名古屋高裁判決【判例評釈】
 補説2 自衛隊イラク派兵違憲訴訟・岡山地裁判決【判例評釈】

第2章 今日の憲法政治と平和的生存権
 まえがき――ひとつの見取り図を示す
 第1節 憲法破壊の憲法政治――「安保法制」と「自衛隊明記」改憲
 第2節 平和憲法の再生のために――平和的生存権の可能性の追究
 第3節(補説) 平和的生存権確保と並走するもの
          ――「平和への権利」国連宣言
 あとがき――平和的生存権の確保と新生の課題


第2部 「集団的自衛権」法制の成立と平和的生存権
        ――安保法制違憲訴訟の展開

第3章 「安全保障」法制に対する違憲訴訟――その能否と可否
 まえがき――憲法壊滅法制とどう向き合うか
 第1節 安保法制のどこを違憲ととらえるか
 第2節 違憲訴訟の能否と可否
 あとがき――安保法制の廃止と平和憲法の新生のための課題

第4章 安保法制違憲訴訟における平和的生存権の主張
 まえがき――違憲立法の是正を求めて裁判所の扉をたたく
 第1節 安保法制の疑問の余地ない違憲性
 第2節 救済の要としての平和的生存権
 あとがき――平和憲法の再生に資する違憲審査権の行使を

第5章 安保法制違憲訴訟における「憲法改正・決定権」の主張
      ――沖縄裁判での意見書
 まえがき――立憲主義回復の課題と憲法改正・決定権
 第1節 安保法制違憲訴訟における憲法改正・決定権の主張と反論
 第2節 憲法改正・決定権主張の可能性
 第3節 憲法改正・決定権主張の必要性
 あとがき――沖縄から訴える

第6章 現在司法の平和的生存権判断の問題性
      ――安保法制違憲訴訟の中間時点で考える
 まえがき――裁判所は違憲性判断抜きの審査をこれからも
      続けてよいのだろうか
 第1節 7判決の平和的生存権判断をどうとらえるか
 第2節 安保法制法の制定・運用下における平和的生存権の意義
 あとがき――7つの判決の時点での判断姿勢の見直しを


第3部 米軍基地重圧下の沖縄における平和的生存権の展開

第7章 沖縄における平和的生存権の可能性
 まえがき――本章の課題
 第1節 沖縄関連の2つの憲法訴訟における平和的生存権論
 第2節 沖縄における平和的生存権論の具体的展開
 第3節 背景としての沖縄史
 あとがき――次への課題

第8章 沖縄米軍基地爆音訴訟における平和的生存権の主張
 まえがき――沖縄における平和的生存権確保の格別の意味
 第1節 沖縄米軍基地とそれによる人々の権利の侵害
 第2節 沖縄米軍基地訴訟における平和的生存権主張の2つの形態
 あとがき――司法に求められるもの

第9章 沖縄「高江訴訟」における抵抗権および平和的生存権の主張
 まえがき――基地建設に抗う「高江」の人々
 第1節 人間の尊厳をかけた訴え
 第2節 抵抗権の本来的機能の顕在化
 第3節 平和的生存権の主張
 第4節 抵抗権・平和的生存権の一体的な主張
 補 節 高江訴訟の名古屋地裁判決(2019.11.11)と判旨に対するコメント
 あとがき――裁判運動への理論の貢献

補 章 日本国憲法における国際協調主義の今日的意義
 第1節 まえがき――軍事的「国際協調」活動の潮流
 第2節 日本国憲法における国際協調主義
 第3節 改憲論における「国際協調」概念の恣意的使用
 第4節 平和的国際協調主義の展開――あとがきにかえて

資 料 自衛隊イラク派兵違憲訴訟・名古屋高裁における証言
    (2007年10月25日)
   

書評掲載案内

■『琉球新報』2021年11月14日(日)12面に書評掲載
平和訴訟の実践を集大成
評者:寺井一弘(弁護士・安保法制違憲訴訟全国ネットワーク代表)

■『しんぶん赤旗』2022年1月9日(日)読書欄に書評掲載
名古屋高裁判決以降の到達示す
評者:植松健一(立命館大学教授)