書籍詳細:日本社会主義思想史序説

日本社会主義思想史序説 明治国家への対抗構想

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在庫あり
発刊年月
2021.11
ISBN
978-4-535-58761-8
判型
A5判
ページ数
312ページ
Cコード
C3031
ジャンル

内容紹介

日本における社会主義思想の受容の源流を自由民権期に探り、それがもたらした帝国主義批判の思想と運動の発展を精緻に考察する。

目次

序 章 近現代日本における「社会主義」概念の展開

はじめに
第1節 社会主義概念の受容(十九世紀後期)——第一期
第2節 社会主義思想の運動化と多様化(十九・二十世紀転換期)――第二期
第3節 国際社会主義運動の分裂と日本(両大戦間期)――第三期
第4節 冷戦構造の中の社会主義(第二次大戦後)――第四期
第5節 冷戦終結以後における「社会主義」の行方――第五期
本書の課題と構成について

[第1部] 明治国家の成立と社会主義論

第1章 自由民権期の「社会党」論と儒学

はじめに
第1節 西周の「社会党論ノ説」
第2節 「邪説」としてのsocialism
第3節 「天地の公道」としてのsocialism
おわりに

第2章 東洋社会党をめぐる自由民権期の社会主義観

はじめに
第1節 東洋社会党の結成をめぐる情報の伝播と流通
第2節 東洋社会党観をめぐる親政府派と民権派との対立
第3節 東洋社会党の結社禁止をめぐる諸言説の展開
おわりに

第3章 自由民権期のキリスト教界と社会主義

はじめに
第1節 人類平等説と「社会党」批判――一八八〇年前後の宗教界と社会主義
第2節 「社会党」論から「社会問題」論へ――キリスト教と経済学
第3節 「社会問題」解決策としての社会主義論
おわりに

第4章 初期民友社の社会・労働問題論と「平民主義」
      ――竹越与三郎を中心に

はじめに
第1節 竹越与三郎の「社会問題」論と「平民主義」
第2節 初期民友社の「社会問題」論と「平民主義」
第3節 初期民友社の労働問題・労働運動論と「平民主義」
おわりに

[第2部] 社会主義思想形成の諸相

第5章 日本における資本主義批判の出発
      ――社会主義と社会政策論との分岐点

はじめに
第1節 ドイツ社会政策学の移植
第2節 アメリカ社会改良論の受容
第3節 社会主義思想の形成
第4節 社会主義と社会政策との分岐
おわりに

第6章 片山潜におけるマルクス主義思想の形成

はじめに
第1節 片山潜のアメリカ留学――キリスト教と社会学
第2節 社会主義思想の形成過程
第3節 「革命」思想の形成過程
おわりに

第7章 堺利彦の「家庭」論と社会主義思想の形成

はじめに
第1節 堺の家庭論の原型
第2節 家庭の親愛と和楽
第3節 親密圏と「私化」
第4節 家庭と社会主義
おわりに

[第3部] 帝国主義と社会主義

第8章 日清戦後の労働運動と東アジア――「帝国主義」をめぐって

はじめに
第1節 日清戦後の労働運動における経済的ナショナリズム
第2節 日清戦後の軍備拡張問題と労働運動
第3節 日清戦後の労働運動におけるアジア観
第4節 「帝国主義」と労働運動
おわりに

第9章 堺利彦における非戦論の形成――「家庭」から帝国主義批判へ

はじめに
第1節 堺における最初の精神上の「革命」――「平和なる小家庭」
第2節 「家庭」のユートピアと平和的秩序の構想
第3節 資本主義・国家・帝国主義の暴力に対する批判
第4節 非戦論と日露戦争

第10章 二十世紀初頭における社会主義運動と帝国主義
      ――非戦・人種・アジア
はじめに
第1節 人類同胞思想と社会主義――非戦論をめぐって
第2節 移住労働者と社会主義――人種問題をめぐって
第3節 帝国主義と社会主義――アジア被圧迫民族との連帯をめぐって
おわりに

書評掲載案内

■『日本思想史学』54号〈2022〉 P180-184 評者:猪原 透・関西学院大学非常勤講師
■『大原社会問題研究所雑誌』777号〈2023〉 P66-70 評者:梅森直之・早稲田大学政治経済学術院教授