書籍詳細:鉄道交通と巨大都市化の社会学

鉄道交通と巨大都市化の社会学 「東京」の構造変動

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発刊年月
2022.09
ISBN
978-4-535-58759-5
判型
A5判
ページ数
336ページ
Cコード
C3036
ジャンル
難易度
テキスト:中級

内容紹介

鉄道新線が導いた社会・経済的に一体性の高い都市空間と人・物資・情報の一極集中。30年の実証研究で辿る「東京」のダイナミズム。[第42回日本都市学会賞(奥井記念賞)受賞][第17回地域社会学会賞 受賞]

目次

 
はじめに
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第1部 鉄道交通のインパクト・スタディー
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第1章 都市・地域社会調査の方法論――量と質とビジュアルの混合研究法

 1.都市社会調査論の遠景――「睡蓮」と「アルノルフィニ夫妻」のアレゴリー
 2.1970年代以降の量対質をめぐる論争――対立から対話へ
 3.1990年代における日本都市社会学会の議論――冷戦体制の収束宣言
 4.都市・地域社会調査のおけるマルチメソッドの水脈――共同調査+総合調査の系譜
 5.量と質とビジュアルの架橋?――事例としての交通インパクト研究
 6.混合研究法の要諦―自覚的で厳格な調査設計
 7.併用・折衷を脱するために――データセットの整序とコンピュータ・アシスト
 8.混合研究法へ誘う「窓」――プロジェクトの完結へ向けての覚書
 9.結びにかえて


第2章 交通インパクトの社会学的研究のために
      ――鉄道交通と巨大都市化の歴史的展開

 1.鉄道交通と巨大都市化の展開過程
 2.交通インパクト・スタディーズの特色と社会学的アプローチの必要性
 3.通勤新線開通の社会学的効果測定の方法と理論的枠組――修正MHASRモデル
 4.結びにかえて


第3章 交通インパクトの社会学的効果に関する第1~第10次調査
    ――長期継続調査の方法とデザイン並びにその妥当性をめぐって

 1.長期継続調査の基本設計――第1~第10次調査
 2.戸田(第1・2・4・6・9次)調査の概要
 3.八潮(第1・3・7・10次)調査の概要
 4.ケース・インタビュー(第5次)調査の概要と1997年時点の中間総括
 5.写真(第8次)調査
 6.まとめと考察―調査の方法とデザインの妥当性をめぐって


第4章 埼京線と埼玉県戸田市――社会構造の「転換」をもたらした30年

 1.戸田市の歩みと地域特性
 2.Accessibility:中心都市への接近可能性
 3.Mobility:地域間・職業間の移動性と流動性
 4.Regionality:日常生活圏の広域性
 5.Solidarity:地域コミュニティの連帯性
 6.Habitability:地域の居住性
 7.まとめと考察 


第5章 つくばエクスプレスと埼玉県八潮市――「転換」前の限定的変動

 1.八潮市の歩みと地域特性
 2.Accessibility:中心都市への接近可能性
 3.Mobility:地域間・職業間の移動性と流動性
 4.Regionality:日常生活圏の広域性
 5.Solidarity:地域コミュニティの連帯性
 6.Habitability:地域の居住性
 7.まとめと考察 


第6章 写真と住宅地図によるミクロ分析――地域の物理的転換と社会的転換

 1.写真データによる景観の経年変化の跡付け
 2.都市社会調査における写真調査の新展開 
 3.ケース分析(1):戸田市の3事例
 4.ケース分析(2):八潮市の1事例
 5.まとめと考察

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第2部 「東京」と巨大都市化の社会学 
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第7章 地域社会学の根本問題――対象と分析視角をめぐって

 1.問題の所在
 2.「地域社会」の用語法――「全体社会」か「部分社会」か
 3.実態認識・範域・分析視角をめぐる相違点
 4.地域社会学の果たすべき役割と課題
 5.考察と課題


第8章 「東京」の地域社会学的研究――範域確定の試み

 1.問題の所在
 2.分析の視点――範域画定にあたっての基本問題
 3.分析の手続きと使用データ
 4.分析と結果
 5.知見と課題


第9章 「東京」の空間変動分析――データ集成と1960~90年の経年変化

 1.「東京」の空間変動分析のために(1)――1980年を基準とした市町村の対応関係
 2.「東京」の空間変動分析のために(2)――全市町村の5指標値と総合得点の推移
 3.「東京」の空間構造の変動過程――1960~1990年の経年変化
 4.知見と考察(1)――マクロな動向をめぐって
 5.知見と考察(2)――ミクロな動向をめぐって


第10章 「東京」における人口移動と流動――集中と分散のダイナミズム

 1.問題の所在
 2.「東京」を捉える視点
 3.「東京」の展開過程――5期から6期区分への組み替え
 4.「東京」における地域間人口移動と通勤・通学流動
 5.1980年代以降の「東京大改造」の展開と人口動向
 6.結びにかえて

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第3部 総括 
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第11章 「交通」と「東京」を「社会学する」ために

 1.戸田市と八潮市における交通インパクト研究をめぐって
     ――第2部の結論と考察
 2.交通ネットワークと「東京」の巨大都市化に関する研究をめぐって
     ――第1部と第2部の関連性と考察
 3.「東京」の社会学的研究のために――近年の「東京」現象・再考
 4.「交通」の社会学的研究のために――独立変数としての「交通」・再考
 5.結語―残された課題と本書の意義

付論 もう一つの交通インパクト・スタディー


第12章 山間集落における局地的小宇宙性と村落結合
      ――山梨県旧棡原村大垣外と青森県西目屋村大秋の50年

 序 研究のねらいと視点
 1.調査地の概況
 2.基点としての1937・8年――喜多野と関が捉えた50年前の大垣外と大秋
 3.家族・地域生活の変容とその要因
 4.家々の土着・定着性と村落結合の連続性
 5.まとめにかえて


Appendix 第9次・10次調査の調査票とコード表

 1.第9次(2015年戸田)調査の調査票とコード表
 2.第10次(2016年八潮)調査の調査票とコード表・依頼状

 文献一覧
 おわりに
 索引

書評掲載案内

■『都市問題』2023年2月号pp.104-105に掲載。
「30年以上に及ぶ実証研究が明らかにする交通インパクトが導く「東京」の〈成長〉と〈拡大〉」
評者:濵田 愛(後藤・安田記念東京都市研究所研究員)

■『運輸政策研究』Vol.26(2024年)p.61に掲載。
評者:大門 創(國學院大学観光まちづくり学部准教授)

■『社会と調査』No.32(2024年3月)p.132に掲載。
評者:長谷川公一(尚絅学院大学 特任教授)

■日本社会学会『社会学評論』第74巻 第2号(2023年9月発行)pp.349-350に掲載
 評者:橋本健二(早稲田大学人間科学学術院教授)

■日本都市社会学会『日本都市社会学会年報』第41号(2023年9月発行)pp.92-94に掲載
 評者:町村敬志(東京経済大学コミュニケーション学部教授)