書籍詳細:岐路に立つ市民の司法参加制度

岐路に立つ市民の司法参加制度 英米の陪審制度から日本の裁判員制度を考える

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発刊年月
2023.08
ISBN
978-4-535-52720-1
判型
A5判
ページ数
524ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

日英米の市民の司法参加制度の現在と新たな課題、改革の展望を研究者・実務家24人が論じる。丸田隆関西学院大学名誉教授古稀記念。

目次

はしがき
___________________________

第1部 英米の陪審制度と司法
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Ⅰ 刑事編

(抄訳)ロックダウンにおける法の支配――イギリスの陪審制度への影響
  ………メリル・ディーン(訳:家本真実) 

The Rule of Law in Lockdown:Reflections
on the English Jury System………Meryll Dean 

  Introduction
  Historical Background
  Jury Trial in Lockdown-Proposals  and Solutions
  The Restarting of Jury Trials
  Conclusion


アメリカ刑事陪審制度研究の展望………勝田卓也 

  はじめに
  Ⅰ これまでの刑事陪審像
  Ⅱ 司法制度改革審議会における議論
  Ⅲ 現在のアメリカにおける刑事陪審の問題点
  Ⅳ 近年の陪審改革案
  おわりに


陪審裁判と人種差別………東川浩二
 
  はじめに
  Ⅰ 陪審候補者の確保と人種差別
  Ⅱ 陪審選定と人種差別
  Ⅲ 陪審の評議と人種偏見
  おわりに


陪審審理を受ける権利と編入理論、判例法のあり方
――Ramos v. Louisiana合衆国最高裁判決を中心に………会沢 恒 

  Ⅰ コンテクスト
  Ⅱ Ramos v. Louisiana判決
  Ⅲ 検討
  Ⅳ 結語
  

陪審とマイノリティ、先例拘束性をめぐる合衆国裁判所の判断
  ………辻 雄一郎 

  はじめに
  Ⅰ 陪審の人数と全員一致について
  Ⅱ 全員一致の評決が必要であると判断した2020年Ramos v. Louisiana判決
  Ⅲ 第6修正と関連する法理――投票権、先例拘束性
  おわりに

アメリカのDVコートの概要と日本型DVコート導入の必要性………松村歌子 

  はじめに
  Ⅰ 全米のDVコート数と設立の経緯
  Ⅱ DVコートの目標
  Ⅲ DVコートで審理される事件
  Ⅳ DVコートを成功させるために必要なこと
  Ⅴ 日本型DVコート導入の必要性


Ⅱ 民事編

(抄訳)民事陪審裁判はZoomで行われるべきか?
  ………サブリナ・S・マッケナ(訳:松村歌子) 

Should Civil Jury Trials Be Conducted Through Zoom?
  ………Sabrina S. McKenna 

  Ⅰ. Introduction
  Ⅱ. Use of Zoom in Hawaiʻi Courts
  Ⅲ. General Issues Regarding Zoom Court Proceedings
  Ⅳ. Additional Impacts on Jury Trials Caused
     by COVID-19 or Due to Zoom
  Ⅴ. Should Civil Jury Trials Be Conducted Through Zoom?


著作物のフェア・ユースにおける陪審の判断とその審査基準
  ………家本真実 

  はじめに
  Ⅰ 著作物のフェア・ユース
  Ⅱ Oracle v. Google事件の背景
  Ⅲ 下級審判決
  Ⅳ 連邦巡回区合衆国控訴裁判所判決
  Ⅴ 合衆国最高裁判決
  Ⅵ 検討
  おわりに


アメリカ合衆国におけるジョン・ドゥ(John Doe)訴訟の一考察
  ………竹部 晴美 

  はじめに
  Ⅰ サピーナ(subpoena、召喚状)の機能と役割について
  Ⅱ ジョン・ドゥ(John Doe)訴訟とは何か
  Ⅲ ジョン・ドゥ・サピーナに関する現行の基準とその要素に関する検討
  おわりに

___________________________

第2部 日本の裁判員制度と司法
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(抄訳)裁判手続への市民参加――日本の好機
  ………マシュー・J・ウィルソン(訳:竹部晴美) 

Lay Participation in Court Proceedings:
Opportunity for Japan………Matthew J. Wison 

  Ⅰ. Transformational Waves in Japan's Legal System
  Ⅱ. Citizen Participation in the Justice System
  Ⅲ. The Future-Need for Expanded Citizen Participation
  Ⅳ. Final Thoughts
  

裁判員制度をふりかえる――その現状と課題………飯尾滋明 

  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 裁判員制度の現状
  Ⅲ 裁判員制度の課題
  Ⅳ おわりに


裁判員は誤りない判決をできるのか………五十嵐二葉 

  Ⅰ 前編 裁判員が有罪にした理由を明かした
       唯一の事件で事実を見る
  Ⅱ 後編 裁判員は誤りない判決をできる


裁判員裁判における「裁判員の主体性」の検討………宮本康昭 

  Ⅰ 裁判員裁判の意義――なぜ司法参加なのか
  Ⅱ 裁判員の法的地位
  Ⅲ 裁判員裁判の主体としての裁判員
  Ⅳ 裁判員の主体性を揺るがすもの
  Ⅴ 裁判員の主体性回復のために――改革策の提言
  Ⅵ 結び


裁判員裁判における死因認定に関する「覚書」………上田信太郎 

  はじめに
  Ⅰ 事件の概要
  Ⅱ 裁判員制度と死因認定の意義
  Ⅲ 専門家証言の難解さと証言領域の限界線
  おわりに


刑事司法に対する態度と合理的疑い基準の効果
――大阪母子殺人放火事件最高裁判所判決を契機に
  ………太田 勝造 

  はじめに
  Ⅰ 人々の刑事司法制度に対する態度
  Ⅱ 大阪母子殺人放火事件での人々の心証形成
  Ⅲ 証明度の説明の仕方の効果の有無
  Ⅳ まとめ


裁判員選任年齢18歳引き下げに伴う大学の対応………飯 考行 

  はじめに
  Ⅰ 裁判員選任年齢引き下げの経緯
  Ⅱ 主要大学の対応
  Ⅲ 若年者の声
  Ⅳ 裁判員を務めやすい環境整備に向けて


湖東記念病院殺人再審無罪事件にみる冤罪の構図と
刑事司法改革の必要性………山﨑 浩一 

  はじめに
  Ⅰ 事件の発生と殺人の有罪判決の確定
  Ⅱ 再審の経過
  Ⅲ 再審公判の特色
  Ⅳ 三者協議の経過
  Ⅴ 警察が重要な証拠を検察官に送致していなかったこと
  Ⅵ 自白の任意性の判断のあり方
  Ⅶ 本事件における違法な取り調べ
  Ⅷ 弁護権侵害
  Ⅸ 起訴後の取り調べ
  Ⅹ 否認調書が作成されなかったこと
  Ⅺ 刑事司法改革の必要性
  Ⅻ 裁判長の説諭を受けて


少数者救済訴訟に遭遇した裁判官よ、忖度ではなく気概を持て
――立ちはだかる壁を乗り越えんとする裁判官に声援を
  ………森野 俊彦 

  はじめに
  Ⅰ ある強制送還について「裁判を受ける権利」の侵害と
    断じた判決について
  Ⅱ 強制不妊手術と国の賠償責任を認めた二つの高裁判決
  Ⅲ 同性婚を認めないのは違憲か、
    それとも「今は合憲ないし違憲状態」しかないのか
  Ⅳ 教育現場等における「少数者」の救済をめぐって
  Ⅴ 少数者救済判決の意義ないし影響


民事陪審導入の際の訴訟手続に関する検討課題
――嘉手納基地爆音差止訴訟から考える………西村 健 

  はじめに
  Ⅰ 嘉手納訴訟の概要
  Ⅱ 訴訟手続の在り方に関する主たる論点
  Ⅲ 嘉手納訴訟における具体的検討事項
  おわりに


〈Summary〉The Dawn of the Japanese Jury System:
Constitutionalism  and Civil Participation
  ………Takashi Maruta 

日本陪審制度の夜明け――立憲主義と国民の司法参加………丸田 隆 
  はじめに

  Ⅰ 刑事陪審法の制定経過
  Ⅱ 陪審制導入の根拠と理由
  Ⅲ 戦前の陪審論議の今日的意味――結びにかえて

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第3部 市民の司法参加制度の追究
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Champion of the Jury:Takashi Maruta's Passion
for the People's Voice………Valerie P. Hans 

丸田隆先生と陪審裁判と裁判員裁判と検察審査会
――日米の市民司法参加制度研究における偉大な業績
  ………福来 寛 

  Ⅰ 陪審制度研究に関わる出版
  Ⅱ 裁判員制度を含めた市民司法参加制度に関する出版
  Ⅲ 丸田氏との共同研究と共同出版
  Ⅳ 陪審制度や裁判員制度以外での丸田氏の出版
  Ⅴ 結びに


あるアメリカ法研究者達の出会い、歩み、そして、これから
  ………小川 宏幸 

  Ⅰ 出会い
  Ⅱ 歩み
  Ⅲ これから


Takashi Maruta:Teacher, Scholar, Activist, Friend
  ………Richard O. Lempert 


丸田隆先生の経歴・業績