書籍詳細:生活保護制度の政策決定
生活保護制度の政策決定 「自立支援」に翻弄されるセーフティネット
- 紙の書籍
- 電子書籍
定価:税込 6,380円(本体価格 5,800円)
紙の書籍・POD・アーカイブズの価格を表示しています。
電子書籍の価格は各ネット書店でご確認ください。
電子書籍の価格は各ネット書店でご確認ください。
在庫あり
紙の書籍のご購入
内容紹介
2000年以降の生活保護制度激動の20年を、国・自治体の関係や省庁間の折衝、審議会や司法判断を分析し、政策決定を方向付けてきた要因を明らかにする意欲作。
目次
_________________________________
第Ⅰ部 「費用分担」は国と地方のパワーバランスをどう変えてきたのか
_________________________________
序 章 生活保護の2000年代とは
序-1 はじめに
序-2 生活保護政策をめぐる研究動向および中央と地方のパワーバランス
序-3 本研究の目的と方法
序-4 本書の構成
第1章 生活保護における権限と費用の分担
1-1 新生活保護法成立までの費用分担
1-2 救護法から新生活保護法成立までの整理
1-3 サンフランシスコ講和条約締結と第一次「適正化」(1954)
1-4 第二次臨調答申による第二次「適正化」と国庫補助率見直し
(1983~1988)
1-5 地方分権改革の始まりと費用分担(1989-2000)
1-6 三位一体改革、そして費用分担の見直しへ(2001-2004)
1-7 費用分担の見直しから「適正化」へ(2005)
1-8 「適正化」から新たな「分担」へ(2006-2022)
1-9 人数において最大のステークホルダーとしての生活保護受給者の出現
(2015-)
1-10 生活保護における費用分担と地方の位置づけの変化
第2章 国からの生活保護費予算は何を制御していたのか
2-1 生活保護政策決定と実施における組織連関
2-2 国からの生活保護費予算による制御の流れ
2-3 費用負担率の変化が「投資効果」に与える影響
2-4 生活保護が消滅した場合、誰が何を制御する必要があるのか
第3章 費用分担は国と地方の関係をどう変えたのか
3-1 2006年、なぜ「財源なき権限移譲」の中で
「財源を失わない権限移譲」が実現したのか
3-2 「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」(2003~2004年)
3-3 「生活保護費及び児童扶養手当に関する国と地方の関係者協議会」
(2005年)
3-4 「新たなセーフティネット検討会」と
「新たなセーフティネットの提案」(2006年)
3-5 「国庫補助率」「適正化」「自立の助長」に注目した議論の整理
3-6 地方団体の位置付けの変化
3-7 アクターと組織連関の変化
3-8 地方団体の立法機関化
第4章 生活保護基準決定に関する財務省と厚生労働省の攻防
(2000-2009)
4-1 2001年~2009年における社会保障政策の推移の概略
4-2 生活保護基準の「物価スライド」に関する検討
4-3 水準均衡方式における参照階層に関する検討
4-4 「参照階層」という厚生労働省のレジスタンス
_________________________________
第Ⅱ部 費用分担は、どのように「ワークフェア」政策を促進したのか
_________________________________
第5章 生活保護分野における「ワークフェア」概念の出現と発展
(1945-2009)
5-1 ワークフェアの起源
――20世紀後半における「働かざる者、食べるべからず」の
社会実装
5-2 米国における「ワークフェア」の出現と普及
5-3 福祉国家の成立と「ワークフェア」出現まで
5-4 米国、および各国における「ワークフェア」の出現と福祉国家の関係
5-5 「積極的」就労促進の諸相
――アクティベーションはワークフェア政策を成功に導いたか
5-6 日本人の勤労観と「働かざる者、食べるべからず」への異議申し立て
5-7 日本の社会保障政策は、
どのように「ワークフェア」概念を取り込んだのか
第6章 生活保護政策における「ワークフェア」概念の出現と発展
6-1 生活保護制度改革以前(1945-2000年前後)
6-2 生活保護制度改革の開始から民主党政権成立まで(2001-2009)
第7章 民主党政権下における生活保護政策(2009-2012)
7-1 母子加算と老齢加算の「明暗」(2009)
7-2 脅威視された「その他の世帯」と地方発の「適正化」提案
(2009-2010)
7-3 東日本大震災と「国費100%」を切り口とした地方の発言力増大
(2011)
7-4 実現に向かう地方発「適正化」(2012)
第8章 第二次安倍政権成立以後の生活保護政策(2012.12-2022)
8-1 改正生活保護法および生活困窮者自立支援法の成立と「物価偽装」
(2013)
8-2 日本の住環境から切り離される生活保護の「住」(2014)
8-3 ネグレクトされる寒冷地の生活保護受給者たち(2015)
8-4 「引き下げ部会」に対する部会長代理の異議申し立て(2016)
8-5 とめどない権利剥奪に向かう生活保護(2017)
8-6 生活保護世帯の子どもたちに対する「選択と集中」(2018)
8-7 証言台に立つ元部会長代理(2019)
8-8 「生活保護は権利です」という厚生労働省のアピール(2020)
8-9 深刻化するコロナ禍、被虐待経験者らの「選択肢をください」
(2021)
8-10 基準引き下げへの行政のアクセル、司法のブレーキ(2022)
第9章 生活困窮者の社会的包摂が就労支援と
生活保護利用抑制に収斂した過程、およびその後
——「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」
(2012-2013)と関係者インタビューより
9-1 生活困窮者自立支援法は社会保障制度なのか
9-2 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」以前の
「自立」概念の議論
9-3 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」における
「自立」概念の議論
9-4 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」
(2012-2013)について
9-5 「自立」の名のもとに防衛された、支援しない「自由」
_________________________________
第Ⅲ部 生活保護の政策決定を方向づけるもの
_________________________________
第10章 生活保護における政策決定モデルの検討
10-1 生活保護における組織連関モデルへの変化の反映
10-2 2001年以後の生活保護政策決定の力学、および方向転換の可能性
終 章 セーフティネットのある日本を実現することは可能なのか
終-1 総括
――生活保護制度改革は、例外的な「財源つき権限委譲」だったのか
終-2 結局は「財源なき権限委譲」であった生活保護制度改革
終-3 「セーフティネット」のある日本を実現するために
附 章 厚生労働省「生活扶助相当CPI」に関する批判的言説、計算方式、
および使用された数値の検討
附-1 生活扶助相当CPIの特徴
附-2 生活扶助相当CPIの出現と2013年の生活保護基準見直し
附-3 立法の場における検討
附-4 学術界による検討
附-5 生活扶助相当CPIの内実
附-6 ラスパイレス方式の計算原理と厚生労働省の計算との関係
附-7 パーシェ方式の計算原理と厚生労働省の計算との関係
附-8 統計局方式で計算した場合との差異
附-9 テレビやPCの支出額割合の過大評価
附-10 不適切な「根拠」に基づく政策決定への批判
あとがき
参考文献
第Ⅰ部 「費用分担」は国と地方のパワーバランスをどう変えてきたのか
_________________________________
序 章 生活保護の2000年代とは
序-1 はじめに
序-2 生活保護政策をめぐる研究動向および中央と地方のパワーバランス
序-3 本研究の目的と方法
序-4 本書の構成
第1章 生活保護における権限と費用の分担
1-1 新生活保護法成立までの費用分担
1-2 救護法から新生活保護法成立までの整理
1-3 サンフランシスコ講和条約締結と第一次「適正化」(1954)
1-4 第二次臨調答申による第二次「適正化」と国庫補助率見直し
(1983~1988)
1-5 地方分権改革の始まりと費用分担(1989-2000)
1-6 三位一体改革、そして費用分担の見直しへ(2001-2004)
1-7 費用分担の見直しから「適正化」へ(2005)
1-8 「適正化」から新たな「分担」へ(2006-2022)
1-9 人数において最大のステークホルダーとしての生活保護受給者の出現
(2015-)
1-10 生活保護における費用分担と地方の位置づけの変化
第2章 国からの生活保護費予算は何を制御していたのか
2-1 生活保護政策決定と実施における組織連関
2-2 国からの生活保護費予算による制御の流れ
2-3 費用負担率の変化が「投資効果」に与える影響
2-4 生活保護が消滅した場合、誰が何を制御する必要があるのか
第3章 費用分担は国と地方の関係をどう変えたのか
3-1 2006年、なぜ「財源なき権限移譲」の中で
「財源を失わない権限移譲」が実現したのか
3-2 「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」(2003~2004年)
3-3 「生活保護費及び児童扶養手当に関する国と地方の関係者協議会」
(2005年)
3-4 「新たなセーフティネット検討会」と
「新たなセーフティネットの提案」(2006年)
3-5 「国庫補助率」「適正化」「自立の助長」に注目した議論の整理
3-6 地方団体の位置付けの変化
3-7 アクターと組織連関の変化
3-8 地方団体の立法機関化
第4章 生活保護基準決定に関する財務省と厚生労働省の攻防
(2000-2009)
4-1 2001年~2009年における社会保障政策の推移の概略
4-2 生活保護基準の「物価スライド」に関する検討
4-3 水準均衡方式における参照階層に関する検討
4-4 「参照階層」という厚生労働省のレジスタンス
_________________________________
第Ⅱ部 費用分担は、どのように「ワークフェア」政策を促進したのか
_________________________________
第5章 生活保護分野における「ワークフェア」概念の出現と発展
(1945-2009)
5-1 ワークフェアの起源
――20世紀後半における「働かざる者、食べるべからず」の
社会実装
5-2 米国における「ワークフェア」の出現と普及
5-3 福祉国家の成立と「ワークフェア」出現まで
5-4 米国、および各国における「ワークフェア」の出現と福祉国家の関係
5-5 「積極的」就労促進の諸相
――アクティベーションはワークフェア政策を成功に導いたか
5-6 日本人の勤労観と「働かざる者、食べるべからず」への異議申し立て
5-7 日本の社会保障政策は、
どのように「ワークフェア」概念を取り込んだのか
第6章 生活保護政策における「ワークフェア」概念の出現と発展
6-1 生活保護制度改革以前(1945-2000年前後)
6-2 生活保護制度改革の開始から民主党政権成立まで(2001-2009)
第7章 民主党政権下における生活保護政策(2009-2012)
7-1 母子加算と老齢加算の「明暗」(2009)
7-2 脅威視された「その他の世帯」と地方発の「適正化」提案
(2009-2010)
7-3 東日本大震災と「国費100%」を切り口とした地方の発言力増大
(2011)
7-4 実現に向かう地方発「適正化」(2012)
第8章 第二次安倍政権成立以後の生活保護政策(2012.12-2022)
8-1 改正生活保護法および生活困窮者自立支援法の成立と「物価偽装」
(2013)
8-2 日本の住環境から切り離される生活保護の「住」(2014)
8-3 ネグレクトされる寒冷地の生活保護受給者たち(2015)
8-4 「引き下げ部会」に対する部会長代理の異議申し立て(2016)
8-5 とめどない権利剥奪に向かう生活保護(2017)
8-6 生活保護世帯の子どもたちに対する「選択と集中」(2018)
8-7 証言台に立つ元部会長代理(2019)
8-8 「生活保護は権利です」という厚生労働省のアピール(2020)
8-9 深刻化するコロナ禍、被虐待経験者らの「選択肢をください」
(2021)
8-10 基準引き下げへの行政のアクセル、司法のブレーキ(2022)
第9章 生活困窮者の社会的包摂が就労支援と
生活保護利用抑制に収斂した過程、およびその後
——「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」
(2012-2013)と関係者インタビューより
9-1 生活困窮者自立支援法は社会保障制度なのか
9-2 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」以前の
「自立」概念の議論
9-3 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」における
「自立」概念の議論
9-4 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」
(2012-2013)について
9-5 「自立」の名のもとに防衛された、支援しない「自由」
_________________________________
第Ⅲ部 生活保護の政策決定を方向づけるもの
_________________________________
第10章 生活保護における政策決定モデルの検討
10-1 生活保護における組織連関モデルへの変化の反映
10-2 2001年以後の生活保護政策決定の力学、および方向転換の可能性
終 章 セーフティネットのある日本を実現することは可能なのか
終-1 総括
――生活保護制度改革は、例外的な「財源つき権限委譲」だったのか
終-2 結局は「財源なき権限委譲」であった生活保護制度改革
終-3 「セーフティネット」のある日本を実現するために
附 章 厚生労働省「生活扶助相当CPI」に関する批判的言説、計算方式、
および使用された数値の検討
附-1 生活扶助相当CPIの特徴
附-2 生活扶助相当CPIの出現と2013年の生活保護基準見直し
附-3 立法の場における検討
附-4 学術界による検討
附-5 生活扶助相当CPIの内実
附-6 ラスパイレス方式の計算原理と厚生労働省の計算との関係
附-7 パーシェ方式の計算原理と厚生労働省の計算との関係
附-8 統計局方式で計算した場合との差異
附-9 テレビやPCの支出額割合の過大評価
附-10 不適切な「根拠」に基づく政策決定への批判
あとがき
参考文献
書評掲載案内
■『貧困研究』Vol.32
2024年7月 114頁に書評掲載
評者:永井悠大(NPO法人Homedoor)
2024年7月 114頁に書評掲載
評者:永井悠大(NPO法人Homedoor)