書籍詳細:競争を否定する選挙法

競争を否定する選挙法 戦後日本における選挙運動規制の形成過程に関する研究

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発刊年月
2024.01
ISBN
978-4-535-52669-3
判型
A5判
ページ数
296ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

1952年の公職選挙法改正に焦点を当て、選挙運動に対する厳格な制限規定が現存している理由に関して合理的選択論の枠組から論じる。

目次

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第1章 研究の背景・目的・方法  
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第1節 選挙運動規制と選挙制度研究  

第2節 選挙運動規制研究の課題  

第3節 概念整理と特殊日本性  

第4節 研究の方法  

第5節 各章の構成  

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第2章 戦後日本の選挙運動規制の構造  
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第1節 包括性:何が禁止されているのか  

第2節 候補者中心主義:何が許されているのか  

第3節 官僚主義:誰が執行するのか  

第4節 「議員主権」:誰が定めるのか  

 4-1 立法府内の競合関係の有無  
 4-2 立法裁量権の絶対性  

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第3章 公職選挙法制定までの選挙運動規制  
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第1節 戦前期における「私的選挙運動の自由制限原理」  

第2節 1945年衆議院議員選挙法改正と「マッカーサー裁定」  

第3節 1950年公職選挙法制定の政治過程  

第4節 50年制定法から52年改正へ  

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第4章 1952年公職選挙法改正の政治過程  
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第1節 民主的不確実性をめぐるゲーム  

第2節 現職国会議員と追放解除者の対立  

第3節 選挙制度調査会答申の黙殺  

第4節 1952年公職選挙法改正をめぐる政治過程  

第5節 52年改正法の総選挙への影響  

 5-1 自由党の公認問題  
 5-2 選挙キャンペーンへの影響  

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第5章 1952年時の警察の動向  
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第1節 手続的正当性をめぐるゲーム  

第2節 52年改正以前の取締論議  

第3節 警察による取締強化要求の黙殺  

第4節 総選挙における取締実態  

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第6章 1950年代における後援会普及と選挙運動規制  
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第1節 「選挙区培養」と事前運動  

 1-1  個人後援会をめぐる通説の欠陥と研究上の重要性  
 1-2  イギリスの判例とその継承  

第2節 「事前運動」の時代:1952年総選挙について  

第3節 1954年改正法と寄附規制の欠陥  

第4節 「事前運動」から「後援会」へ:1958年総選挙について  

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第7章 選挙運動規制研究の展望  
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第1節 1952年改正の効果と経路依存性  

第2節 「議員主権」のその後  

 2-1 恣意的変更のインセンティブ  
 2-2 恣意的変更による虚構の瓦解  

第3節 選挙取締行政の統制  

第4節 比較研究の可能性  

書評掲載案内

■2024年12月22日付『読売新聞』23面にて掲載。
「読書委員が選ぶ2024年の3冊」
評者:清水唯一郎(政治学者・慶應大学教授)