書籍詳細:紛争が戦争とならないために
紛争が戦争とならないために 国際法による制御の可能性
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予価:税込 7,480円(本体価格 6,800円)
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内容紹介
戦争の危機を伴う紛争を制御するため、国際法が果たす役割とは。「紛争から国際法を見る」という視点によって検討を深めていく。
目次
はしがき 西 平等
序 章 国際法はいかにして紛争の制御に寄与するか
……西 平等
1 「力の問題」と国際法
2 キューバ危機における国際法の役割
3 国際法の役割をとらえる広い視角
4 紛争制御における国際法の役割という問い
5 「国際インシデント」研究との異同
6 本書の概要
___________________________
第1部 国際法諸規範の意義
___________________________
第1章 自決原則に基づく分離要求への国際連盟理事会の対応
……西 平等
1 はじめに
2 連盟理事会への付託の経緯
3 法律家委員会報告書
4 調査委員会報告書
5 解 決
6 おわりに
第2章 領域国際法の不確定性とコソボ紛争の余韻
……豊田哲也
1 はじめに
2 人民自決原則と領土一体原則
3 領土一体原則の優越の動揺
4 コソボ独立をめぐるICJ 勧告的意見手続き
5 領域をめぐる争論(dispute)の意義
6 おわりに
第3章 トルコ・ギリシャ間のエーゲ海・東地中海諸紛争
……沖 祐太郎
1 はじめに
2 トルコ・ギリシャ関係の展開
3 エーゲ海におけるトルコ・ギリシャ間の緊張とイミア島紛争
4 東地中海における緊張と領土紛争への展開
5 おわりに
第4章 北アイルランド和平とブレグジット……福永有夏
1 はじめに
2 ベルファスト和平合意
3 北アイルランド議定書とその後の展開
4 おわりに
第5章 冷戦期デタントの展開とその現代的意義
――勢力圏と安全保障をめぐる紛争への対処
……伊藤一頼
1 はじめに
2 キューバ危機と緊張緩和
3 米ソ・デタントの盛衰
4 欧州に引き継がれたデタント
5 おわりに
第6章 ポーツマス条約(1905年日露講和条約)が
戦前の極東における紛争の抑制・緩和に果たした役割
……小林友彦
1 問題意識――ひとつの条約の機能と限界
2 ポーツマス条約の内容
3 帝政ロシア期における、極東での国際法秩序の基盤としての機能
4 ロシア革命後における紛争抑制・緩和機能とその限界
5 結論――ふりかえることの意義
___________________________
第2部 軍事活動スキームへの移行の回避
___________________________
第7章 グレーゾーン事態対処の法的制御……鶴田 順
1 海における「法の支配」
2 「法の支配」における「法」
――現在の法か、それとも新たな法か
3 各国海上法執行機関の「衝突」の回避のための方策
――「危機管理メカニズム」の設定
4 尖閣諸島周辺海域における中国の活動
5 日本の安全保障の課題――グレーゾーン事態への対処
6 法執行活動スキームと軍事活動スキーム
7 武力紛争法の適用
8 グレーゾーン事態対処のための法整備の必要性
第8章 海空域インシデントと武力紛争の間
――領域侵入事案に見る国際法の紛争制御機能……黒﨑将広
1 はじめに――「平和関係ノ安固ヲ期スル為」の仕組み
2 海空域法秩序の特殊性
3 海空域インシデントの範例
――当事国間の意思表示の枠組みとしての国際法
4 おわりに――武力紛争回避の仕組みの発展に向けて
___________________________
第3部 国際裁判の役割
___________________________
第9章 国際紛争平和的処理手続による紛争制御の試み
―――コスタリカの例……李 禎之
1 はじめに
2 領土紛争の経緯
3 平和的解決の試み
4 紛争制御を可能とした諸要因
5 おわりに
第10章 チャド・リビア領土紛争
――戦争が紛争になるために……濵本正太郎
1 はじめに
2 植民地時代
3 非植民地化過程
4 武力紛争
5 ICJ 付託合意
6 ICJ 判決
7 判決後
8 なぜリビアはICJ 付託および判決を受け入れたのか
9 おわりに
第11章 失地回復という問題
――ハニシュ諸島紛争とバカシ半島紛争を題材として
……許 淑娟
1 はじめに
2 ハニシュ諸島紛争(エリトリア=イエメン仲裁)
3 バカシ半島紛争(カメルーン/ナイジェリア事件)
4 むすびに
第12章 チャゴス諸島領有権紛争における国際裁判所の役割
……西元宏治
1 はじめに
2 植民地時代
3 脱植民地化の進展とスエズ以東における覇権の交代
4 BIOT 統治の正当性への挑戦
5 国際裁判所の活用
6 その後の展開
7 結びにかえて
第13章 海から始まる戦争の防止
――ニカラグア=コロンビア領土海洋紛争を手掛かりに
……石井由梨佳
1 はじめに
2 ニカラグア=コロンビア領土海洋紛争
3 国際裁判による紛争の制御
4 おわりに
第14章 ビーグル海峡事件
――紛争の只中で国際法を語り継ぐ……小寺智史
1 はじめに
2 ビーグル海峡をめぐるチリとアルゼンチンの紛争
3 仲裁判決
4 仲裁判決後の展開
5 従来の評価
6 国際法による紛争の制御――範例としての教訓
7 おわりに
___________________________
第4部 強制力の使用
___________________________
第15章 コルフ島事件(1923年)における国際法の多層性
――囲い込まれた復仇……福島涼史
1 はじめに
2 大使会議――早期撤退実現
3 法律家特別委員会――復仇の許容可能性
4 連盟理事会――規約による枠づけ
5 総会――世論の圧力
6 おわりに――1920年代の理論と現実
第16章 ロシアのウクライナ侵攻を契機とする
もう一つの戦争の抑制
――第三次世界大戦を現実のものとしないために
……岩月直樹
1 はじめに
2 ロシアによるウクライナ侵攻に対する国連の対応
3 戦争に至らない強制的な対応措置としての第三国による
対ロシア経済制裁
4 おわりに
___________________________
第5部 現下の紛争の制御について
___________________________
第17章 ロシア・ウクライナ戦争の制御における国際法の役割
――一方的強制措置(経済制裁)の文脈で
……山田卓平
1 はじめに
2 ロシアへの一方的強制措置――日本による措置の概要
3 対ロシア措置はロシア・ウクライナ戦争の制御に効果があるか
4 一方的強制措置による紛争制御への国際法学の寄与
5 おわりに
第18章 安保理常任理国を当事者とする
侵略戦争において国連にできることはあるか
……豊田哲也
1 はじめに
2 領域紛争の一方的解決手段としての侵略戦争
3 領域紛争の司法的解決と政治的解決
4 おわりに――「侵略戦争」の後に
第19章 武力紛争統御における国際人道法の役割……新井 京
1 はじめに
2 目標区別原則と文民・民用物の「動員」
3 「戦争の霧」の中で―予防原則
4 攻撃側と防御側の責任分担
5 「人間の盾」
6 おわりに
第20章 パレスティナ武力紛争における人道的介入論の役割
――古典的目的-手段枠組みの応用可能性
……福島涼史
1 連載から読み解く実践知
2 制御に求められる法理
3 人道的介入の適性
4 手段との均衡性
5 人道的介入論の補完性
執筆者紹介
序 章 国際法はいかにして紛争の制御に寄与するか
……西 平等
1 「力の問題」と国際法
2 キューバ危機における国際法の役割
3 国際法の役割をとらえる広い視角
4 紛争制御における国際法の役割という問い
5 「国際インシデント」研究との異同
6 本書の概要
___________________________
第1部 国際法諸規範の意義
___________________________
第1章 自決原則に基づく分離要求への国際連盟理事会の対応
……西 平等
1 はじめに
2 連盟理事会への付託の経緯
3 法律家委員会報告書
4 調査委員会報告書
5 解 決
6 おわりに
第2章 領域国際法の不確定性とコソボ紛争の余韻
……豊田哲也
1 はじめに
2 人民自決原則と領土一体原則
3 領土一体原則の優越の動揺
4 コソボ独立をめぐるICJ 勧告的意見手続き
5 領域をめぐる争論(dispute)の意義
6 おわりに
第3章 トルコ・ギリシャ間のエーゲ海・東地中海諸紛争
……沖 祐太郎
1 はじめに
2 トルコ・ギリシャ関係の展開
3 エーゲ海におけるトルコ・ギリシャ間の緊張とイミア島紛争
4 東地中海における緊張と領土紛争への展開
5 おわりに
第4章 北アイルランド和平とブレグジット……福永有夏
1 はじめに
2 ベルファスト和平合意
3 北アイルランド議定書とその後の展開
4 おわりに
第5章 冷戦期デタントの展開とその現代的意義
――勢力圏と安全保障をめぐる紛争への対処
……伊藤一頼
1 はじめに
2 キューバ危機と緊張緩和
3 米ソ・デタントの盛衰
4 欧州に引き継がれたデタント
5 おわりに
第6章 ポーツマス条約(1905年日露講和条約)が
戦前の極東における紛争の抑制・緩和に果たした役割
……小林友彦
1 問題意識――ひとつの条約の機能と限界
2 ポーツマス条約の内容
3 帝政ロシア期における、極東での国際法秩序の基盤としての機能
4 ロシア革命後における紛争抑制・緩和機能とその限界
5 結論――ふりかえることの意義
___________________________
第2部 軍事活動スキームへの移行の回避
___________________________
第7章 グレーゾーン事態対処の法的制御……鶴田 順
1 海における「法の支配」
2 「法の支配」における「法」
――現在の法か、それとも新たな法か
3 各国海上法執行機関の「衝突」の回避のための方策
――「危機管理メカニズム」の設定
4 尖閣諸島周辺海域における中国の活動
5 日本の安全保障の課題――グレーゾーン事態への対処
6 法執行活動スキームと軍事活動スキーム
7 武力紛争法の適用
8 グレーゾーン事態対処のための法整備の必要性
第8章 海空域インシデントと武力紛争の間
――領域侵入事案に見る国際法の紛争制御機能……黒﨑将広
1 はじめに――「平和関係ノ安固ヲ期スル為」の仕組み
2 海空域法秩序の特殊性
3 海空域インシデントの範例
――当事国間の意思表示の枠組みとしての国際法
4 おわりに――武力紛争回避の仕組みの発展に向けて
___________________________
第3部 国際裁判の役割
___________________________
第9章 国際紛争平和的処理手続による紛争制御の試み
―――コスタリカの例……李 禎之
1 はじめに
2 領土紛争の経緯
3 平和的解決の試み
4 紛争制御を可能とした諸要因
5 おわりに
第10章 チャド・リビア領土紛争
――戦争が紛争になるために……濵本正太郎
1 はじめに
2 植民地時代
3 非植民地化過程
4 武力紛争
5 ICJ 付託合意
6 ICJ 判決
7 判決後
8 なぜリビアはICJ 付託および判決を受け入れたのか
9 おわりに
第11章 失地回復という問題
――ハニシュ諸島紛争とバカシ半島紛争を題材として
……許 淑娟
1 はじめに
2 ハニシュ諸島紛争(エリトリア=イエメン仲裁)
3 バカシ半島紛争(カメルーン/ナイジェリア事件)
4 むすびに
第12章 チャゴス諸島領有権紛争における国際裁判所の役割
……西元宏治
1 はじめに
2 植民地時代
3 脱植民地化の進展とスエズ以東における覇権の交代
4 BIOT 統治の正当性への挑戦
5 国際裁判所の活用
6 その後の展開
7 結びにかえて
第13章 海から始まる戦争の防止
――ニカラグア=コロンビア領土海洋紛争を手掛かりに
……石井由梨佳
1 はじめに
2 ニカラグア=コロンビア領土海洋紛争
3 国際裁判による紛争の制御
4 おわりに
第14章 ビーグル海峡事件
――紛争の只中で国際法を語り継ぐ……小寺智史
1 はじめに
2 ビーグル海峡をめぐるチリとアルゼンチンの紛争
3 仲裁判決
4 仲裁判決後の展開
5 従来の評価
6 国際法による紛争の制御――範例としての教訓
7 おわりに
___________________________
第4部 強制力の使用
___________________________
第15章 コルフ島事件(1923年)における国際法の多層性
――囲い込まれた復仇……福島涼史
1 はじめに
2 大使会議――早期撤退実現
3 法律家特別委員会――復仇の許容可能性
4 連盟理事会――規約による枠づけ
5 総会――世論の圧力
6 おわりに――1920年代の理論と現実
第16章 ロシアのウクライナ侵攻を契機とする
もう一つの戦争の抑制
――第三次世界大戦を現実のものとしないために
……岩月直樹
1 はじめに
2 ロシアによるウクライナ侵攻に対する国連の対応
3 戦争に至らない強制的な対応措置としての第三国による
対ロシア経済制裁
4 おわりに
___________________________
第5部 現下の紛争の制御について
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第17章 ロシア・ウクライナ戦争の制御における国際法の役割
――一方的強制措置(経済制裁)の文脈で
……山田卓平
1 はじめに
2 ロシアへの一方的強制措置――日本による措置の概要
3 対ロシア措置はロシア・ウクライナ戦争の制御に効果があるか
4 一方的強制措置による紛争制御への国際法学の寄与
5 おわりに
第18章 安保理常任理国を当事者とする
侵略戦争において国連にできることはあるか
……豊田哲也
1 はじめに
2 領域紛争の一方的解決手段としての侵略戦争
3 領域紛争の司法的解決と政治的解決
4 おわりに――「侵略戦争」の後に
第19章 武力紛争統御における国際人道法の役割……新井 京
1 はじめに
2 目標区別原則と文民・民用物の「動員」
3 「戦争の霧」の中で―予防原則
4 攻撃側と防御側の責任分担
5 「人間の盾」
6 おわりに
第20章 パレスティナ武力紛争における人道的介入論の役割
――古典的目的-手段枠組みの応用可能性
……福島涼史
1 連載から読み解く実践知
2 制御に求められる法理
3 人道的介入の適性
4 手段との均衡性
5 人道的介入論の補完性
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