書籍詳細:炭坑(やま)の灯は消えても

炭坑(やま)の灯は消えても 三池鉱炭じん爆発によるCO中毒の33年

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  • 紙の書籍
定価:税込 2,860円(本体価格 2,600円)
在庫なし
発刊年月
1997.12
旧ISBN
4-535-58230-0
ISBN
978-4-535-58230-9
判型
A5判
ページ数
280ページ
Cコード
C3036
ジャンル

内容紹介

1963年11月9日、三池三川鉱で炭じん爆発が起こり、一瞬にして458人が死亡した。本書はその記録を克明に綴った同著者の『炭じん爆発』に三池鉱閉山後の動きを加えて再構成したダイジェスト版である。

目次

序章 わが国の近代化のなかで流された血と涙



 炭坑の歴史/奇妙な患者たちとの出会い



第1章 三池三川鉱で炭じん爆発がおこった



 三池大非常/坑内に跡ガスが流れて/救助隊の遅れ



第2章 地底から必死の脱出



 爆発後の疫学/地獄の第二斜坑から坑底付近/

 屍が折り重なっていた350メートル水平坑道/死と生は紙一重/

 宮浦坑口がわからず/黒い煙にまかれて/

 ついに蘇生しなかった/電気係員のみたものは



第3章 炭じん爆発はなぜおこったのか



 原因は炭じん雲/三川第一斜坑の危険性/告発へ地検が動くが/

 三井鉱山に責任はない/苦しい言訳、官・業・学の癒着



第4章 炭じん爆発は防止できなかったのか



 炭じん爆発とは/炭じん爆発の歴史/

 炭じん爆発は中国、日本でくり返されていた/実に痛嘆に堪えず/

 教訓は生かされなかった/炭じん爆発の防止策はある



第5章 炭じん爆発の背景



 合理化の嵐/戦争並みの労働災害/

 軽視された保安/三池大争議



第6章 一酸化炭素(CO)中毒の症状



 COガスの毒性/CO中毒の病理学的所見/COは全身障害をおこす/

 臨床症状、経過と病型/いかなる神経精神症状も存在しうる/

 三池以前のわが国のおもなCO中毒報告/後遺症についての楽観論/

 奇怪なシリトーの論文/クーリエ炭坑の地獄絵巻/ステアリンの臨床観察/

 恋人も忘れた/1907年12月23日 (6ヵ月半の後)/

 奇跡の生還者はレジョン・ドヌール勲章をもらった



第7章 追跡、三池のCO中毒後遣症



 三池CO中毒の特徴/初期から精神症状は多彩であった/

 神経症状もまた多彩であった/慢性期は性格変化が目立った/

 その後も長期に後遺症状は追跡された/組合原性疾患/

 疾病利得/他鉱山では後遺症がない?



第8章 三池のCO患者の治療は



 三池のCO中毒にたいする緊急医療体制は/坑内から救出直後の医療は/

 重要な安静の確保、保温、通風は/急性期治療は/精神症状にたいする治療は/

 入院と通院の選別はどのようにおこなわれたか/入院患者の治療は/

 在宅患者の治療は/救護隊員の場合は/メンタルリハビリテーションとは/

 リハビリの理念は/リハビリにたいする企業の対応



第9章 ベルトコンベア



 石炭が足りない/三井三池災害医療調査団/内村報告書に書かれたもの/

 三池医療委員会が果した役割/三池医療委譲事録/荒尾職能回復指導所/

 障害等級と治癒認定/CO特別立法に向けて/骨抜き/

 三池労組のCO闘争/前代未聞の医師たちのサボタージュ/

 医療は画一化になじまない



第10章 10年目の告発



 水俣病と三池炭じん爆発/1円か全財産を/なぜ、爆発がおこったのですか/

 マンモス訴訟/爆発の原因と企業責任/CO中毒とは何かーー病像論/

 信義則違反/金はいらん、もとの夫を返せーー妻たちの慰謝料/

 敬礼ーー軍隊時代の記憶だけが/生きる屍ーー目をそむけないで/

 和解/判決・三井鉱山の責任を認める/安い人の命と健康



第11章 炭坑の灯は消えても



 「炭掘る仲間」の歌は残った/防臭剤をボリボリ食べた/

 読めない日記はいまも/嫉妬妄想/アルコール依存/

 解雇制限はホゴにされた/炭坑棄民/立津門下生たちの33年めの調査



終章 三池の閉山を迎えて